造影CT磁性体造影剤SPIOによるMRIを併用することで、センチネルリンパ節を同定できたほか、腫瘍径4mm以上の転移については全例で描出できることが示された。一方、センチネルリンパ節への転移を描出できなかった症例は、いずれも微小転移例だった。大阪府立成人病センター乳腺内分泌外科の元村和由氏が、4月12日から千葉県千葉市で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で報告した。

 元村氏は、センチネルリンパ節生検に替わる新たなセンチネルリンパ節転移診断法として、造影CTと造影MRIを組み合わせた方法を検討した。造影CTでセンチネルリンパ節を同定した後に、SPIO造影MRIで転移診断するという考え方だ。

 MRI画像による転移診断については、これまでに磁性体造影剤USPIOを用いた描出が報告されている。正常リンパ節にUSPIOが取り込まれる性質を利用しており、MRIでT2*(スター)強調画像を撮影すると、正常リンパ節が低信号で描出されるというものだ。ただ、USPIOは国内で未承認であるほか、頭痛、背部痛、じんましんなどの副作用があることが課題となっている。

 そこで、元村氏らは、MRI用肝特異的造影剤として使用されるSPIOを用いた方法を検討した。SPIOはUSPIOより粒子径が大きい。対象は、同科を受診した所属リンパ節転移なし(N0)の乳癌患者150症例で、造影CTとSPIOによる造影MRIを撮像した。あわせてセンチネルリンパ節生検を実施し、結果を比較した。

 最初に、局所にCT造影剤を注入して造影3D-CTを撮影した。造影CT画像でリンパ管走行を確認することで、センチネルリンパ節を同定する。その後、SPIO造影剤を局注した上で1.5テスラMRIで撮影し、センチネルリンパ節への転移の有無を判定した。SPIO造影MRI画像上で、センチネルリンパ節が低信号で描出された場合は転移陰性、高信号で描出された場合は、転移陽性とした。

 その結果、全例でセンチネルリンパ節を同定できた。

 SPIO造影MRIによる転移診断の感度は88%、特異度は91%だった。転移症例について細かくみてみると、微小転移例の検出感度は64%だったのに対し、マクロ転移例(4mm以上)は100%だった。マクロ転移例は全例で検出できており、転移を検出できなかった4例はいずれも微小転移例だった。CTやMRIの造影剤による副作用は、全例で見られなかった。

 元村氏はこれらの結果から、「SPIO造影MRIによりセンチネルリンパ節生検は不要になる可能性が示された」と語った。また、微小転移の検出感度を上げるための方法として、3.0テスラMRIでの撮影を検討しているとした。