高度進行直腸癌に対し、mFOLFOX6やXELOXを用いた術前化学療法は有効で、遠隔転移も制御できる可能性のあることが単施設の解析で明らかになった。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、名古屋大学腫瘍外科の上原圭介氏らが発表した。

 欧米では、ステージII/III直腸癌に対する治療は、術前化学放射線療法と直腸全間膜切除、術後補助療法となっているが、日本では放射線療法は行わず、手術と術後補助療法となっている。ただし、近年、オキサリプラチンなどの新たな抗癌剤が登場したことから、上原氏は、オキサリプラチンをベースとした術前化学療法の有効性と安全性について評価を行った。

 対象は、2010年2月から2012年2月に、オキサリプラチンをベースとした術前化学療法の後、2カ月以内に根治手術を施行した局所進行直腸癌患者32人。このうち男性は28人。cT3が9人、cT4aは14人、cT4bが9人。cN1が20人、cN2が12人で、側方リンパ節転移陽性が6人だった。病期別ではStage IIIBが18人、Stage IIICが9人、Stage IVが5人であった。

 術前化学療法として、mFOLFOX6を3人、mFOLFOX6+セツキシマブを3人、XELOX+ベバシズマブを26人に投与した。治療はおよそ3カ月行った。

 その結果、腫瘍最大径は術前59.6±21.5mmが、術後は39.7±19.4mmに縮小した。

 手術は、低位前方切除術が16人、内肛門温存括約筋切除術(ISR)が6人、直腸切断術が5人、骨盤内臓全摘術が5人。また側方リンパ節郭清を24人(75%)に行った。R0切除率は88%であった。

 術前の臨床病期とその後の組織学的病期を比較したところ、cStageはIIIBが18例、IIICが9例、IVが5例だったが、ycStageではIが5例、IIAが10例、IIBが2例、IIIBが9例、IIICが1例、IVが5例となった。化学療法後であるypStageは0が2例、Iが7例、IIAが11例、IIBが3例、IIIBが2例、IIICが1例、IVが5例となった。Stage IIIの患者(27人)ではダウンステージングが25人(93%)だった。組織学的奏効については、グレード3、つまり完全奏効(pCR)は2人(6.3%)だった。

 術後合併症はおおむね問題なく、「オキサリプラチンベースの術前化学療法は安全に施行できる」とした。ただし縫合不全が肛門温存術を行った22人のうち3人(13.6%)で認められた。3人中2人は術後3週以降に発生しており、化学療法との関連性を検討しているという。

 こうした結果を受け、同グループでは、局所進行直腸癌を対象に、術前化学療法としてXELOX+ベバシズマブを4サイクル行い、その予後を評価する多施設共同フェーズ2試験を実施しており、昨年11月に患者登録が終了していることを明らかにした。