局所進行直腸癌に対するFOLFOX6やXELOX、ベバシズマブによる術前化学療法は安全に施行でき、腫瘍のダウンステージングによって根治性の向上も期待できることが、単施設での治療成績の結果から示された。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、佐賀大学医学部一般・消化器外科の古賀靖大氏らが発表した。

 対象は、2009年1月から2011年12月に直腸癌に対し根治手術が施行された症例のうち、術前化学療法が行われた12人。うち男性は9人、下部直腸のcT3が9人、cN1-2が8人、cN3が4人、cT4は3人だった。

 化学療法は、mFOLFOX6が4人、mFOLFOX6+ベバシズマブが5人、XELOX+ベバシズマブが3人で、各レジメンを6コース行った。投与開始後4週目と投与終了後に効果判定をし、16〜18週目に手術を行った。

 この結果、化学療法の抗腫瘍効果は、部分奏効が6人、病勢安定が5人、病勢進行は1人であり、奏効率は50%であった。

 手術は、低位前方切除術(ISR含む)が4人、直腸切断術が3人、骨盤内臓全摘術が3人。ほかの2人は化学療法によって腫瘍が縮小したことから、肛門を残す低位前方切除術が予定されていたが、術中迅速病理診断で断端陽性であったため、直腸切断術が施行された。

 R0切除率は92%。フォローアップ期間16.9カ月の時点で、再発は肺転移が1人のみであった。組織学的な完全奏効は2人(17%)だった。

 臨床病期と組織学的病期を比べた結果、pT1以下にダウンステージングした患者が3人(25%)、リンパ節ではpN0にダウンステージングした患者が6人(50%)であった。

 グレード3以上の有害事象はなく、「術前化学療法の安全性が示唆された」とした。

 また「術前化学療法によるダウンステージングにより、根治性の向上は期待できる」と述べた。ただし化学療法で腫瘍が縮小して、直腸切断術から低位前方切除術に変更が可能になったときでも、迅速病理診断を使って、きちんと判断するなど、「肛門温存術式については慎重に行う必要がある」と述べた。