原発巣漿膜浸潤のない胃癌肝転移で、腫瘍が5cm以内の症例が肝切除のよい適応であることが示された。また、積極的な切除で肝再発においても良好な予後が得られていた。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、がん研有明病院消化器センター外科の竹村信行氏が発表した。

 胃癌肝転移に対する肝切除の適応は確立されていない。そこで竹村氏らは、胃癌肝転移切除例の評価を行った。

 対象は、1993年1月〜2011年1月の18年間に同施設で根治目的の肝転移巣切除を施行した73例のうち、肉眼的根治肝切除(R0、R1)可能だった64例。疾患特異生存率(DSS)と無再発生存率(RFS)、および16の予後因子(年齢、原発胃癌深達度、漿膜転移、リンパ節転移、肝切除術式、腫瘍径など)を検討した。切除の適応は肝転移について異時性、同時性を問わず、原則3個以下で、原発巣の根治切除可能例または施行済み例とした。

 胃癌原発巣の術式は、胃全摘25例、幽門側胃切除33例、噴切5例、PD1例、肝転移巣ではMajor Hepatectomy 14例、(片葉切除13例、3区域切除1例)、Minor Hepatectomy 50例(区域切除9例、部分切除41例)。追跡期間中央値は27カ月だった。

 1、3、5年の疾患特異生存率(DSS)は87%、50%、37%、無再発生存率(RFS)は42%、27%、27%、全生存率(OS)は84%、50%、37%だった。

 予後不良因子として、単変量解析では原発巣深達度(SE、SI、漿膜浸潤あり)および最大径が5cmより大きい転移病変が有意な因子として見いだされた(それぞれp=0.006、p=0.07)。原発胃癌の病理組織や原発巣リンパ節転移ならびに同時性/異時性肝転移などに差はなかった。

 多変量解析では、原発巣深達度(≧SE漿膜浸潤あり)と、最大径が5cmより大きい転移病変が有意な因子として見いだされた(それぞれp=0.002、p=0.018)。層別化すると、見いだされた予後因子が0に比べて、1つの場合、2つの場合となるに従って予後は悪化していた。いずれかの予後因子1つであればある程度の予後は見込めるが、予後因子が2つ以上の場合は肝切除による長期予後は望めないとした。

 再肝切除について検討した結果、肝再発は35例、うち14例に再肝切除を施行した。1、3、5年生存率はそれぞれ71%、62%、47%と、再肝切除可能な症例では予後は比較的良好と認められた。