Ki67の評価は、針生検(CNB)試料での値に比べて手術標本では低値となることがあり、その原因として手術標本の固定不良および一次抗体の違いが考えられることが示された。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、仙台医療センター仙台オープン病院外科の本多博氏が発表した。

 乳癌におけるLuminal B(HER2陰性)の定義としてKi67(>14%)が加わり、化学療法追加の指標となったが、Ki67の評価では固定不良や過固定による染色不良などが指摘されている。日本乳癌学会でも本年、測定評価法の標準化に関する研究が始動している。

 同施設では2009年以降、治療選択や精度管理のために全例でCNBと手術標本の両方を対象にKi67を評価してきた。Ki67値が手術標本で低い傾向があり、一次抗体や固定条件の違いに原因があると推測し検証した。

 同施設と他大学で同一の症例、部位、読影方法でKi67値を比較したところ、CNBでは施設間差は1〜2%だったのに対し、手術標本では約10%の差があり、本多氏らの施設で低値だった。

 さらに詳細に原因を特定するため、2009年7月から2011年11月までにCNBと手術標本両方を免疫染色で評価した初発乳癌69例(術前化学療法施行例を除く)を対象に、火/水/木曜手術、金曜切出(各々固定日数3/2/1日)の3群に分け、Ki-67、ER/PgR、HER2、および腫瘍径(cT/pT)と固定日数を比較検討した。

 ER、PgR、HER2についてはCNBと手術標本の一致率は高く、固定日数との関連はみられなかったのに対し、Ki67は手術標本でやや低かった(Ki67の一致率は域値15%とした場合で70%、域値20%とした場合で84%)。

 固定日数別に解析した結果、固定日数が2日間、3日間の場合は、手術標本のKi67値とCNBのKi67値の差は少なかったが、固定日数が1日間の場合はCNBでのKi67値に比べて手術標本でのKi67値は有意に低値だった。

 その後さらに、乳房全摘した2例(cT=40mm、50mm)から腫瘍を採取し、1つの標本で固定条件(24h固定不良、24h固定、48h固定、4週過固定)と2種類の一次抗体を同時に評価した。その結果、固定時間が短くなるに従ってKi67値は低くなり、また一次抗体の種類によっても20%程度の差が生じることが判明した。

 このため、本多氏らの施設では2012年より一次抗体としてMIB-1を用い、木曜手術(1日固定)を実施しない方針に変更した結果、CNBと手術標本のKi67値は概ね一致したという。

 これらの結果から、本多氏らは、手術標本によるKi67値が抗体の違いや固定不良により低値となる傾向があり、抗体、固定条件、染色手技、およびKi67の域値や読影の標準化が急務で、各施設での測定値を中央施設と比較する精度管理が必要であると語った。