間質性肺炎(IP)合併肺癌術後の急性増悪の因子の検討から、IPの拡がりが高度であるほど急性増悪しやすいが、術中酸素濃度、総酸素投与量と急性増悪との関連は認められないことが示された。4月12日から14日まで千葉市で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器外科の高橋伸政氏が発表した。

 IP合併肺癌の術後では、手術時の高濃度酸素曝露が術後の急性増悪を惹起するといわれている。

 高橋氏らは、術後病理所見に基づいた通常型IP(UIP)の拡がりが高度な症例では、UIP急性増悪の頻度が高いこと、UIPの拡がりにおいて、術前画像所見と術後病理所見に相関が認められることを過去に報告している。今回の検討では、IP合併肺癌術後のIP増悪因子を予測することを目的とし、特に術中酸素投与と急性増悪との関連に焦点を当てた。

 対象は、1991年8月から2010年11月までに肺癌手術が行われた1770人中、UIPを合併し、レトロスペクティブな検討が可能だった395人(平均年齢70歳、男性342人)。

 IP急性増悪の増悪因子として、%肺活量(%VC)、1秒率(FEV1%)、片肺換気中の術中酸素濃度、術中総酸素投与量、麻酔時間、術前画像所見、病理所見を検討した。高濃度酸素は吸気酸素濃度(FiO2)0.6以上と定義した。

 病理分類では、UIPの拡がりを、びまん性、限局性、ミクロ的に分類した。びまん性は肉眼観察で胸膜直下から1cm以上の幅で内部に及ぶもの、限局性は肉眼で確認可能だが胸膜直下から1cm以内にとどまるもの、ミクロ的は肉眼での確認が不可能なもの(胸膜直下2〜3mm以内)とした。びまん性115人、限局性149人、ミクロ的131人となった。
 
 画像分類では、UIPの拡がりについて、X線とCTで所見を認めるものを「X線群」、CTのみで所見を認めるものを「CT群」、いずれも所見がないものを「なし群」とした。X線群125人、CT群78人、なし群192人だった。

 UIP急性増悪は18人(全例男性)に認められ、肺癌手術症例の1.0%、UIP合併例の4.6%に相当した。このうち10人が死亡し、8人が軽快した。

 急性増悪を認めたのは、画像分類ではX線群の12人(9.6%)、CT群の3人(3.8%)、なし群の3人(1.5%)だった。病理分類ではびまん性の11人(9.5%)、限局性の5人(3.3%)、ミクロ的の2人(1.5%)だった。

 単変量解析では、%VC(p=0.04)、FEV1%(p=0.01)、X線群(p=0.01)、びまん性群(p=0.02)が増悪因子となったが、術中酸素濃度、術中総酸素投与量は増悪因子とならなかった。多変量解析では独立した増悪因子は抽出されなかったが、X線群およびびまん性群ではオッズ比(OR)が他の因子と比べて高かった(それぞれOR=2.798、1.964)。
 
 術中酸素濃度は、X線群がCT群、なし群と比較して有意に低値だった(それぞれp=0.003、p<0.0001)。総酸素投与量も、X線群がCT群、なし群と比較して低値だった(それぞれp=0.05、p=0.0003)。X線群に限ると、有意差はないものの、術中酸素濃度60%以上でオッズ比が上昇しており(OR=10.00、p=0.07)、高濃度酸素がUIP急性増悪を惹起する可能性が残された。
 
 高橋氏は「IP急性増悪の予測因子として、術前から評価可能な画像所見が重要と考えられる」と話した。