術前化学療法を施行したHER2陽性乳癌において、Ki-67値10%未満は10%以上と比較して無再発生存期間(RFS)が延長する可能性があることが示された。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、東海大学乳腺内分泌外科の新倉直樹氏が発表した。

 術前化学療法を施行したHER2陽性乳癌では、病理学的完全奏効(pCR)が20〜50%に認められ、予後が良好と報告されている。ただし、術前化学療法を施行したHER2陽性乳癌の予後にかかわる因子については明らかではない。

 2004年から2009年に、遠隔転移を伴わないHER2陽性乳癌で術前化学療法を施行した45例を対象に、pCR、Ki-67、術前/術後のトラスツズマブ使用、エストロゲン受容体(ER)などの因子について、無再発生存期間(RFS)と全生存期間(OS)を検討した。

 45例の対象者の年齢は57歳(35-74歳)、T2が30例と最も多く、N1、N2がそれぞれ13例、27例、ER陽性例は26例、PgR陽性例は16例だった。Ki-67が10%以下は10例、10%以上は31例、不明4例だった。観察期間中央値は48.3カ月。患者は術前化学療法後、30例が乳房温存術、15例が乳房切除術を受けていた。

 45例中9例(20%)にpCRが認められた。このpCRが認められた患者のうち、ER陽性は3例(ER陽性例のうちの11%)、ER陰性は6例(ER陰性例のうちの31%)で、ER陰性例で多かった。しかし、術前化学療法後にpCRが得られたグループと得られなかったグループの間で無再発生存率に有意な差は認められなかった。

 Ki-67低値(<10%)では再発症例は1例もなく、Ki-67値は術前化学療法後の無再発生存の予測因子として有効であると考えられた。ただし、Ki-67低値のグループと比較して、Ki-67高値のグループは無再発生存率は低い傾向にあったが、統計学的に有意な差ではなかった(p=0.055)。