乳癌におけるエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2の陽性率は、原発巣に比べて再発巣は低下することが明らかとなった。また、原発巣でのERの状態に関わらず再発巣でER陰性となった場合、再発巣ER陽性例と比べて再発後の予後が悪いことが示された。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、九州がんセンター乳腺科の田中仁寛氏が発表した。

 近年、再発乳癌においてホルモン受容体、HER2などのバイオマーカーが変化することが報告されている。そこで、田中氏らは、原発巣と転移巣におけるバイオマーカーの変化率とバイオマーカーの変化と予後の相関について解析した。

 対象は、2004年1月から2011年5月までに同施設で治療した再発乳癌283例のうち、初発時および再発時のER、PgR、HER2の評価が可能であった69例。患者の再発時年齢中央値は61歳、無再発生存期間中央値は40.1カ月、観察期間中央値は33.4カ月、再発部位は局所47例、遠隔22例だった。

 ER、PgRは免疫組織化学法で10%以上を陽性とし、HER2は免疫組織化学染色3+またはFISH>2を陽性とした。

 原発巣での各バイオマーカーの陽性率は、ER陽性かつ/またはPgR陽性でHER2陰性は55%、ER陽性かつ/またはPgR陽性でHER2陽性は16%、ER陰性かつPgR陰性でHER2陽性は7%、ER陰性かつPgR陰性でHER2陰性は22%だった。

 再発巣の生検部位は、局所再発巣が67%で、同側乳房39%、同側皮膚/軟部組織が18%、局所リンパ節が10%だった。遠隔巣は33%で、肺が9%、肝臓6%、遠隔リンパ節4%、対側乳房3%などだった。

 ER、PgR、HER2の陽性率は、原発巣よりも再発巣で低下していた。また、変化率(不一致率)は、ER、PgR、HER2についてそれぞれ14%、23%、4%だった。

 これらのマーカーについて原発巣と再発巣の状態と再発後生存率との関係を解析した結果、有意差が認められたのはERのみだった。つまり、原発巣でのERに関わらず再発巣でER陰性だったグループは、原発巣でのERにかかわらず再発巣でER陽性だったグループと比べて有意に再発後生存率が低かった。PgR、HER2については、原発巣と再発巣の間で陽性、陰性が変わっていても変わっていなくても再発後生存率に有意な差は認められなかった。

 これらの結果から田中氏は、再発乳癌治療において再発巣のホルモン受容体、HER2の評価は可能な限り考慮すべきと締めくくった。