免疫組織化学法でCD44陽性/CD24陰性を示す細胞の割合は、乳癌術前化学療法後の無再発生存率(RFS)と有意な相関が認められることが示された。CD44陽性/CD24陰性を示す細胞は、乳癌幹細胞の特徴を持つと報告されている。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、九州がんセンター臨床検査部の川口英俊氏が発表した。

 乳癌幹細胞の特徴を持つCD44陽性/CD24陰性細胞は、基礎的検討において、化学療法や放射線療法に抵抗性を持つことが知られている。ただし、生体内での化学療法耐性との関連についてはまだ明らかになっていない。今回、同氏らは、CD44陽性/CD24陰性細胞が化学療法抵抗性および再発の予測因子になりうるか検討した。

 2002年1月〜2008年5月に同施設で術前化学療法を受けた91例を対象に、初診時針生検組織のホルマリン固定パラフィン包埋切片を対象に免疫組織化学法を行った。エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2、およびCD44陽性/CD24陰性細胞の発現割合の評価を行った。

 CD44陽性/CD24陰性はQdotRナノクリスタルを用いた蛍光二重染色により検出した。CD44陽性/CD24陰性細胞の割合については、全91例の中央値(2.4%)をカットオフ値とし、中央値以上の症例を乳癌幹細胞高発現群、中央値未満を低発現群とした。

 乳癌幹細胞発現(CD44陽性/CD24陰性細胞の割合)と病理学的因子(病理学的完全奏効、核異型度、閉経状況、腫瘍径、ER、PgR、HER2)の間に相関は認められなかった。

 次にRFSとの相関について評価したところ、単変量解析では腫瘍径(T1-2に対するT3)および乳癌幹細胞高発現が、また多変量解析では、腫瘍径、乳癌幹細胞高発現に加え、閉経前の症例で再発率が高いことが示された。

 乳癌幹細胞発現(CD44陽性/CD24陰性細胞の割合)別にRFSを解析した結果、乳癌幹細胞高発現(CD44陽性/CD24陰性細胞の割合が2.4%以上)群は低発現群に比べて有意に再発率が高かった(P=0.008)。

 これらの結果から、川口氏らは、乳癌幹細胞高発現症例は、pCRと相関せず、RFSと相関するため、主病巣以外の血中や骨髄などに存在する癌細胞が化学療法に抵抗性で、術後再発をきたす可能性が考えられるとした。