浸潤性小葉癌に対する術前化学療法による腫瘍の縮小は、腫瘍が複数散在した状態で縮小するまだら型になる傾向が見られることが明らかとなった。一方、治療レジメンやバイオマーカーなどは術前化学療法による縮小パターンに影響を与えない可能性が示された。大阪労災病院外科の森島宏隆氏が、4月12日から千葉県千葉市で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で報告した。

 森島氏は、2003年4月から2011年9月までに術前化学療法後に手術を行った乳癌患者140例を対象に、術前化学療法による腫瘍縮小のパターンを予測する因子を検討した。

 検討した因子は、ER、PgR、HER2などのバイオマーカー、T因子、N因子、組織型、化学療法のレジメンなど。また、腫瘍縮小パターンにより乳房温存率、断端陽性率、組織学的効果判定、腋窩リンパ節内の腫瘍細胞遺残率に違いが見られるかも検討した。

 術前化学療法による腫瘍縮小パターンの判定は、核磁気共鳴画像(MRI)を中心にCT、超音波装置(US)による画像を総合して判定した。中心部に向かって求心的に腫瘍が縮小するパターンを中心型、腫瘍が散布した状態でそれぞれが縮小した多中心性のパターンをまだら型と定義した。

 手術切除範囲は、術前化学療法後にMRIやUS画像から残存腫瘍を確認した上で、中心型、まだら型ともに腫瘍から1.5〜2.0cmのマージンを設定して切除した。術中迅速病理診断で断端陰性であることを確認した。

 術前化学療法による腫瘍縮小パターンを検討した結果、中心型は88例、まだら型は52例だった。乳房温存術を施行したのは108例、乳房全摘術を実施したのは32例。

 さまざまな因子別に中心型とまだら型の割合を検討した結果、浸潤性小葉癌(7例)においてまだら型の占める割合が85.7%(6例)で、他の組織型におけるまだら型の割合と比べて有意差が見られた(p<0.05)。そのほかの組織型でまだら型の占める割合は、乳頭腺管癌が21.4%、充実腺管癌は26.7%、硬癌が38.5%だった。

 同様に、各因子においてまだら型の占める割合をみてみると、ER陽性例で38.3%、ER陰性例で34.8%、PgR陽性例で42.3%、PgR陰性例は31.9%、HER2陽性例では32.6%、HER2陰性例では39.8%となり、各因子におけるまだら型の割合に有意差は確認されなかった。

 縮小パターンの違いにより、乳房温存率、断端陽性率、組織学的効果判定、腋窩リンパ節内の腫瘍細胞遺残率に有意差は見られなかったが、まだら型では、pCR率が低く、リンパ節陽性率が高い傾向が見られた。まだら型のpCR率は13.5%、中心型が25.0%、腋窩リンパ節内の腫瘍細胞遺残率はまだら型が56.0%、中心型が39.5%だった。

 これらの結果から森島氏は、「浸潤性小葉癌でまだら型になる傾向が見られた。まだら型は中心型と比べ、断端陽性率に差がなかったが、pCR率が低く、腋窩リンパ節陽性率が高い傾向が見られた」とまとめた。