高度進行初発大腸癌では、FOLFOXを中心とする化学療法が原発巣の縮小効果を有し、原発巣狭窄による腸閉塞には化学療法施行前または施行中の人工肛門造設で対応が可能なことから、原発巣を切除することなく化学療法を導入することも選択肢の一つと考えられることが示された。4月12日から14日まで千葉市で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、自治医科大学消化器一般外科の宮倉安幸氏が発表した。

 高度な遠隔転移を有する進行大腸癌では、狭窄による原発巣関連合併症への懸念から、原発巣の切除後に化学療法が行われてきた。

 化学療法の進歩により、原発巣を切除せずに化学療法を導入し安全に継続することが可能になってきていると考えられることから、宮倉氏らは、原発巣を切除せずに化学療法を先行した進行大腸癌患者を対象として、化学療法が原発巣へ与える影響をレトロスペクティブに検討した。

 対象は、2006年4月から2010年3月までに化学療法を施行した高度進行初発大腸癌患者のうち、原発巣を切除せずに化学療法を導入した59人(平均年齢61歳)。腫瘍の位置は直腸が29人で最も多く、次いでS状結腸の13人だった。化学療法の選択理由では、肝、肺、リンパ節などの高度遠隔転移が55人、他臓器浸潤などの局所進行が4人だった。ファーストライン治療のレジメンとして、FOLFOX±ベバシズマブが38人、FOLFIRI±ベバシズマブが18人、XELOX+ベバシズマブが3人だった。

 59人中17人(28%)に原発巣狭窄を認め、人工肛門造設後に化学療法を施行した。45人は全経過で原発巣を切除せず、このうち3人は化学療法施行中に原発巣狭窄による腸閉塞を認め、人工肛門を造設した。また2人にベバシズマブによる消化管穿孔を認めた。一方、14人は化学療法による原発巣や遠隔転移巣の縮小が得られ、外科的切除が行われた。このうち5人は無再発生存中、3人は再発生存中である。

 化学療法施行前との内視鏡所見の比較が可能だった19人では、潰瘍瘢痕化著効が4人(21%)、腫瘍縮小11人(50%)、不変4人(21%)だった。潰瘍瘢痕化著効の4人中、病理学的にGrade3となったのは1人だった。腫瘍縮小を認めた11人の内視鏡所見の特徴は、腫瘍周堤の平低化、潰瘍底が浅い、瘢痕狭窄だった。また遠隔転移巣の治療効果では、8人で部分奏効(PR)が得られた。

 宮倉氏は今後の検討項目として、人工肛門への許容性と化学療法施行中の人工肛門管理、原発巣切除の化学療法への影響、原発巣切除の有無による化学療法導入例のプロスペクティブな検討をあげた。