膵切除後の脂肪肝発症を予防するには、BMIを3以上減少させないよう、大量消化酵素や少量インスリン投与を含めた適切な栄養管理が重要であることが示された。4月12日から千葉県幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、名古屋大学消化器外科学の岡村行泰氏(現・静岡がんセンター)が発表した。

 膵切除後に脂肪肝が生じることは知られているが、詳細な検討はなされていない。そこで岡村氏らは、膵切除後の脂肪肝が長期予後に影響するかどうかと、脂肪肝発生の危険因子について検討した。

 対象は2003年12月から2010年6月に同大学病院で膵切除を行った367例(膵中央切除、膵頭十二指腸第2部切除例は除外)。このうち術後90日から365日の間にCT画像所見が得られた186例について解析した。フォローアップCTで肝転移を有していた症例は脂肪肝の評価が困難であるため除外し、最終的な検討対象症例は102例だった。

 脂肪肝については、外側区域、内側区域、前区域、後区域のHounsfield Unit値を測定し、平均値が40以下となった症例と定義した。

 患者背景は、年齢65歳(23-83歳)、術式は、膵頭十二指腸切除(PD)65.7%、尾側膵切除(DP)27.5%、膵全摘(TP)6.8%、門脈合併切除32.4%だった。切除対象疾患は、悪性疾患が80.4%で、膵癌は全体の60.7%、胆道癌5.9%、膵管内乳頭粘液癌9.8%、その他の悪性腫瘍3.9%だった。

 102例をCT画像により判定した脂肪肝の有無別に分けたところ、脂肪肝群32例、非脂肪肝群70例だった。

 この2群の間で比較し、膵切除後の脂肪肝発生の危険因子について単変量解析した結果、術前減黄処置あり、主膵管拡張あり、膵癌であること、術式(膵頭十二指腸切除術)、門脈合併切除あり、インスリン療法なし、消化酵素剤使用あり、止血剤使用あり、体重減少(5kg以上)、BMI減少(3kg/m2以上)が有意な因子として見いだされた。

 次に多変量解析を行った結果、術後インスリン使用なし、術後BMI減少(3kg/m2以上)が有意の因子として残った。

 なお、脂肪肝群、非脂肪肝群の間で3年生存率と3年無再発生存率を検討した結果、3年生存率は脂肪肝群55.8%、非脂肪肝群62.7%で有意差は認めなかったが、3年無再発生存率は、脂肪肝群25.2%、非脂肪肝群48.8%と、p=0.053で統計学的な有意差は認めなかったが、脂肪肝群の方が不良な傾向にあった

 これらの結果から、岡村氏は、膵切除術後脂肪肝が長期予後に影響を与える可能性があること、BMIを3kg/m2以上減少させないように、大量消化酵素、少量インスリン投与を含めた適切な栄養管理を行うことが脂肪肝発症の予防につながると締めくくった。