大腸癌の根治切除例の予後予測因子として、好中球リンパ球比が有用である可能性が示された。東京大学腫瘍外科の金子学氏が、4月12日から幕張で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で報告した。

 癌患者では、好中球増加やリンパ球減少など、白血球分画に異常があることや、好中球/リンパ球比が根治術後患者の予後と相関することが、複数の癌腫において報告されている。好中球は腫瘍細胞の増殖や血管新生、遠隔転移を促す作用があること、リンパ球は腫瘍に対する免疫反応を担っていることが知られている。そのため、好中球/リンパ球比は予後に関連する可能性がある。

 今回、金子氏らは、大腸癌根治切除症例において好中球/リンパ球比が予後予測因子となりうるかを検討した。

 対象は、1990年1月から2009年12月までに同科で根治切除術を行った大腸癌患者1038例(術前治療を行った例や大腸癌以外の癌が同時に指摘された例などは除外)。好中球/リンパ球比は、術前(初診時または検査入院時)に測定した血液検査結果を使用して算出し、高値群と低値群に分けた(カットオフ値は4に設定)。

 その上で、臨床病理学的因子(年齢、性別、原発巣の部位や組織型など)、無再発生存期間、全生存期間との相関関係を検討した。

 好中球/リンパ球比と相関する臨床病理学的因子の検討では、腫瘍径、T因子、組織型、遠隔転移の有無が抽出された。具体的には、腫瘍径が50mm以上、腫瘍の深達度が深い、遠隔転移があり、組織型が未分化な症例では、有意に好中球/リンパ球比が高値だった。

 次にさまざまな予後予測因子と全生存期間(OS)、無再発生存期間(DFS)について多変量解析を行った結果、分化度、深達度、リンパ管侵襲、脈管侵襲などとともに、好中球/リンパ球比が有意な因子として見いだされた。

 OSについては、好中球/リンパ球比高値群のハザード比は1.89(95%CI:1.17-2.95、p=0.010)、DFSについてはハザード比1.47(95%信頼区間:1.05-2.02、p=0.024)だった。

 そのほか、ステージ別にDFS率を検討したところ、好中球/リンパ球比は、特にステージII、ステージIIIの予後予測因子として有用であることも分かった。

 金子氏はこれらの結果から、「大腸癌根治切除症例で好中球/リンパ球比は有意な予後予測因子であることが示唆される」と指摘した。