進行直腸癌に対し、S-1イリノテカン(CPT-11)を用いた術前補助化学放射線療法(NCRT)の病理学的効果と予後の検討から、NCRTの治療効果が予後と関連することが示唆された。4月12日から14日まで千葉市で開催された第112回日本外科学会定期学術集会で、北里大学医学部外科の佐藤武郎氏が発表した。

 進行直腸癌に対する標準的治療はいまだ確立されていない。CRTに関する大規模臨床試験はほとんど実施されておらず、エビデンスが十分に得られていない状況にある。

 佐藤氏らは局所進行直腸癌患者を対象としてS-1とCPT-11を用いたNCRTの第I/II相試験を実施し、第II相試験からは安全性と有効性を報告している(Int J Radiat Oncol Biol Phys, 2011;79:677-687)。今回はNCRTの治療効果の意義を明らかにするため、第I/II相試験における病理学的効果と予後を検討した。
 
 対象は、S-1とCPT-11を用いたNCRTの第I/II相試験に登録した患者76人。直腸癌はT3またはT4とし、Nについては制限を設けなかった。
 
 放射線は1.8Gy/日を週5日、5週間照射し、計25回施行した。S-1は80mg/m2を週5日、CPT-11(80mg/ m2)は週の1日目に投与し、それぞれ2週間投与、1週間休薬、2週間投与とした。
 
 観察期間中央値は4.6年だった。薬物治療、放射線治療の組織学的効果判定基準によるGradeでは、Grade 1が21人(27.6%)、Grade 2が25人(32.9%)、Grade 3が30人(39.5%)となり、良好な結果だった。
 
 このうち再発を認めたのは計20人で、Grade 1では13人(61.9%)と高率だった。Grade 2では6人(24%)、Grade 3では術後1年以内に全身再発をきたした1人(3.3%)のみだった。
 
 再発部位では、肺7人(9.2%)、肝6人(7.9%)、傍大動脈リンパ節3人(6.5%)などの順に多かった。また原発性肺癌が2人(2.6%)に認められた。
 
 死亡は9人(11.6%)で、原癌死は6人(7.6%)、他癌死または他病死は3人(6.5%)だった。
 
 Grade 1の患者では、臨床学的検討事項に関係なく高率に遠隔転移をきたしていた。

 佐藤氏は「今回の検討から、局所進行直腸癌患者に対するNCRTの治療効果が予後と関連することが示唆された。今後、NCRT開始前に生検検体による治療効果予測を検討する必要があると考えられる」と話した。