乳癌における非センチネルリンパ節への転移を予測する上で最も重要な因子はセンチネルリンパ節転移巣の大きさで、腋窩リンパ節径が10mm以下でセンチネルリンパ節転移巣が2mm以下の症例では、非センチネルリンパ節まで転移している可能性は少ないことが示された。国立病院東京医療センター外科の松井哲氏が、4月12日から幕張で開催されている第112回日本外科学会定期学術集会で報告した。

 センチネルリンパ節生検で転移陰性の場合、QOLや予後の観点から、腋窩郭清を省略することが容認されている。一方、転移陽性の場合は、原則として腋窩郭清が行われるが、腋窩郭清を実施した症例の多くは非センチネルリンパ節に転移がないことが報告されている。

 そこで松井氏らは、センチネルリンパ節生検陽性例での腋窩郭清省略の可能性を探るため、非センチネルリンパ節転移陰性を予測する臨床病理学的因子を検討した。

 2002年以降、同科でセンチネルリンパ節生検(RI法と色素法の併用)を実施した1034例のうち、227例が陽性だった。このうち、未治療の追加郭清例178例について、臨床病理学的因子(臨床病期、原発腫瘍径、術前画像検査、脈管侵襲、陽性・陰性センチネルリンパ節数、センチネルリンパ節の転移巣の大きさなど)と非センチネルリンパ節転移との関係を検討した。

 追加郭清を行った178例中、80例(45%)で非センチネルリンパ節転移が見られた。非センチネルリンパ節転移に関連している因子を検討した結果、臨床病期、腫瘍径、脈管浸潤、センチネル転移巣の大きさ、CTでの術前画像診断などが有意な因子だった。

 臨床病期についてみると、非センチネルリンパ節まで転移している症例はステージ1で20例だったが、ステージ2では51例で、ステージが早いほど転移患者数は有意に少なかった(p=0.012)。また、脈管侵襲が少ない症例は非センチネルリンパ節への転移例が有意に少なかった(p<0.001)。

 加えて、術前に撮影したCT画像で腋窩リンパ節の大きさも測定。その結果、非センチネルリンパ節転移例では腋窩リンパ節径が有意に大きく、腋窩リンパ節径が10mm以下の症例では転移例が少ないことが分かった。

 同様に、CT画像で一番大きなリンパ節をセンチネルリンパ節と判断し、センチネルリンパ節転移巣の大きさを測定したところ、転移巣が小さい症例ほど、非センチネルリンパ節転移例は有意に少なかった。腋窩リンパ節が10mm以下で、センチネルリンパ節転移巣が2mm以下だった微小転移例30例のうち、非センチネルリンパ節へ転移していた症例は1例(3.3%)だった。

 予後予測ツールの1つであるMemorial Sloan-Kettering Cancer CenterのPrediction toolの結果についても検討したが、転移の有無に関わらず値が一様に分布しており、転移の有無を判定することが難しかった。
 
 これらの結果から松井氏は、非センチネルリンパ節転移を予測する上で、センチネルリンパ節転移巣の大きさが一番重要な因子であると述べ、「画像診断でリンパ節腫大がなく、センチネル転移巣が2mm以下と微小転移だった症例では、非センチネルまで転移している可能性は低いと予測できる」と語った。