胃癌の原発巣、転移巣におけるHER2発現の相違は5%程度で、HER2検査は原発巣診断のみで容認できることが示された。ただし、可能な限り転移巣の検索は必要である。4月12日から千葉県幕張市で開催されている第112回日本外科学会定期学術集会で、日本大学消化器外科の東風貢氏が発表した。

 胃癌におけるHER2陽性の定義は、原発巣の免疫染色で3+、または2+の場合FISH法で陽性とされている。

 乳癌におけるHER2発現については、原発巣と転移巣で発現が相関するかが解析されており、同時性リンパ節転移での相違例は6.7%、異時性リンパ節転移では0%、異時性局所再発では13.3%、異時性遠隔転移では28.6%であることが明らかになっている。

 一方、胃癌における原発巣、転移巣のHER2発現の相違については明らかにされていなかった。

 対象は1990年から2010年までに切除された管状腺癌(tub)のリンパ節転移陽性胃癌141例。HER2検査は原発巣切除検体最大割面とリンパ節転移巣を、免疫染色法で行った。免疫染色で2+の症例はFISHで診断した。免疫染色で原発巣、転移巣にHER2発現の相違があった場合は、免疫染色0、1+、3+であってもFISH法を行った。

 患者背景は、男性79.4%、年齢中央値68歳、上部胃癌28.4%、手術深達度SE以深が59.6%、肉眼的リンパ節転移陽性85.8%だった。幽門側胃切除は79.4%、胃全摘20.6%、根治度R0+R1は81.6%だった。

 診断結果は、原発巣でHER2陽性は40例(28.4)、リンパ節転移でのHER2陽性は42例(29.8%)だった。

 相違性について解析した結果、原発巣陽性でリンパ節転移巣陽性は36例(25.5%)、原発巣陽性でリンパ節転移巣陰性は7例(5.0%)、原発巣陰性でリンパ節転移巣陽性は8例(5.7%)原発巣陰性でリンパ節転移巣陰性は90例(63.8%)だった。

 これらの結果から東風氏は、胃癌におけるHER2発現の相違性は比較的低率で、転移胃癌に対するHER2検査は原発巣診断のみで容認できるが、可能な限り転移巣の検索が必要と考えられるとまとめた。