StageII/III結腸・直腸癌に対する術後補助化学療法において、腫瘍内のオロテートホスホリボシルトランスフェラーゼ(OPRT)およびチミジンホスホリラーゼ(TP)の発現量が効果予測因子である可能性が示された。慶應義塾大学外科の茂田浩平氏、石井良幸氏、北川雄光氏らによる検討から示されたもので、4月12日から14日まで千葉市で開催されている第112回日本外科学会定期学術集会で発表された。

 茂田氏らは、StageII/III結腸・直腸癌に対する術後補助化学療法の効果予測因子を明らかにするため、根治術が施行された患者について、5-FU代謝関連酵素のmRNAの腫瘍内発現量と予後との関連について統計学的解析を行った。

 対象は、2000年8月から2008年11月までに根治術が施行されたStageII/III結腸・直腸癌患者で、手術単独群は39人(年齢中央値73歳、男性29人)、術後補助化学療法群は70人(同62歳、同39人)だった。術後補助化学療法群ではUFT単剤またはUFT/ホリナートカルシウム(UZEL)が投与された。StageIIとIIIの患者は、手術単独群ではそれぞれ29人と10人、術後補助化学療法群では32人と38人だった。

 摘出した組織の総RNAを抽出し、5-FU代謝関連酵素のmRNAと対照としてβ-アクチンのmRNAの腫瘍内発現量を、Danenberg Tumor Profile法(DTP法)を用いて測定した。各酵素のmRNA発現のカットオフ値は、β-アクチンに対する発現比を用いてROC曲線を作成して決定し、チミジル酸シンターゼ(TS)は2.05、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)は0.39、OPRTは0.91、TPは1.72となった。

 手術単独群における多変量解析では、全生存率(OS)、無再発生存率(RFS)ともに独立した予後予測因子は同定できなかった。

 一方、術後補助化学療法群における単変量解析では、StageIII、OPRT、TPの低発現例と比べて高発現例でRFSが有意に良好だった(それぞれp<0.001、p=0.047、p=0.017)。この結果をふまえた多変量解析では、OPRT高発現とTP高発現はRFSの改善と有意に相関した(それぞれp=0.044、p=0.046)。OPRT発現量におけるハザード比は0.425(95%信頼区間:0.178-0.986、p=0.044)、TP発現量におけるハザードは0.143(95%信頼区間:0.024-0.468、p=0.044)で、それぞれ独立した術後補助化学療法の効果予測因子であると考えられた。

 術後補助化学療法群では、OPRT高発現、TP高発現、OPRTとTPがともに高発現の症例は、いずれも低発現の症例と比べてRFSが有意に高く、どちらもともに高い症例では特にその差が大きいことが示された(それぞれp=0.037、p=0.041、p=0.014)。

 茂田氏らは現在、StageIIのみを対象とした解析を進めており、OPRT高発現の症例で高い効果が得られる傾向がみられているという。また、同氏は再発リスクの高さによる検討も進めていきたいと話した。