浸潤性膵管癌に対する全身化学療法としては、既にゲムシタビンS-1の有効性が示されている。しかし、術後補助化学療法や再発時の治療における位置づけはまだ明確ではない。第109回日本外科学会定期学術集会で、信州大学消化器外科の中田岳成氏は、ゲムシタビンの術後補助化学療法、およびゲムシタビンとS-1の再発時治療成績を紹介し、有用性を強調した。

 対象としたのは、1997年1月から2009年3月までに肉眼的治癒切除を行った浸潤性膵管癌患者81人(男性47人、女性33人、平均年齢65.3歳)。術式は膵頭十二指腸切除術57人、膵体尾部切除術24人だった。2002年から補助化学療法を導入しており、補助化学療法を行った48人、手術のみ33人で治療成績を検討した。術後補助化学療法は、ゲムシタビン1000mg/m2を週1回、3週投与1週休薬を1コースとし、計6コース行った。

 無増悪生存期間は、補助化学療法群13.0カ月、手術単独群6.9カ月で明らかな差は得られなかった。しかし、全生存期間については、補助化学療法群35.8カ月、手術単独群14.2カ月と、補助化学療法群で大きな延長がみられた(p=0.0003)。5年生存率は補助化学療法群44.7%、手術単独群12.0%だった。

 さらに中田氏らは、2006年から開始したゲムシタビン+S-1の再発時治療についても検討した。補助化学療法施行中の再発が12人、施行後再発が12人で、現在も12人に治療を継続中だ。投与スケジュールは28日1コースで、S-1は40〜80mg/m2を1週間目、3週間目。ゲムシタビンは1000mg/m2を7日目、21日目に投与した。平均投与回数は7コースだった。

 再発後の累積生存率は、1年生存率が71.4%、2年生存率が44.1%だった。また、S-1導入前のゲムシタビン単独補助化学療法と累積生存率を比較したところ、5年生存率は併用群43.2%、単独群18.2%と明らかな差が得られた(p=0.0021)。

 以上のことから中田氏は、「術後補助化学療法としてゲムシタビンを用いる有効性が認められた。また、ゲムシタビン+S-1の再発時治療により、さらに生存期間の延長が期待できる。治癒切除ができなかったり、リンパ節転移や門脈浸潤などがみられる膵癌患者に対しても、積極的な手術と補助化学療法を施行することがますます重要になる」とした。