これまで、食道や大腸など消化管癌の早期発見に有用とされてきたNBI(Narrow Band Imaging)システムが、肺癌胸膜浸潤の診断においても有用であることが分かった。第109回日本外科学会定期学術集会のポスターセッションで、鹿児島大学循環器・呼吸器・消化器疾患制御学の福森和彦氏が発表した。

 福森氏らは、2008年6月より2009年1月までに開胸手術を行った患者で、開胸時に病変と壁側胸膜との癒着を認めなかった場合にNBIシステムによる拡大観察を行った。NBIシステムは、生体内への光の深達度が波長によって違うことを利用し、深達度の浅い、短い波長の光2種類のみを抽出する特殊なフィルターを用いたシステム。これによって胸膜の表層にある毛細血管の走行パターンを強調表示でき、正常血管と腫瘍独特の毛細血管新生の違いを把握できる。

 正常胸膜では、毛細血管が胸膜と並行に網目状になっているのが観察できたのに対し、癌病変部の近くでは、胸膜浸潤の有無にかかわらず、毛細血管の途絶が認められた。さらに、胸膜浸潤を認めた場合には、癌に垂直に向かう血管が点状に明瞭に観察できた。福森氏は「毛細血管の途絶は炎症に伴う胸膜肥厚のためと考えられた。NBIシステムにより、胸膜浸潤を簡便にかつ詳細に検討できた」と話し、肺癌においても有用であると強調した。