アデノウイルスを利用した抗癌剤であるテロメライシンを、胸部、頭頸部悪性腫瘍放射線療法と併用で投与する遺伝子治療臨床研究の申請が3月に、岡山大学の学内倫理委員会に行われたことが明らかとなった。4月2日から4日に福岡市で開催されている日本外科学会のシンポジウムで、岡山大学医学部・歯学部附属病院遺伝子・細胞治療センター助教の香川俊輔氏がテロメライシンに関する発表の中で明らかにした。

 テロメライシンは、ヒトアデノウイルス5型のE1領域にテロメラーゼプロモーターを組み込んだ腫瘍殺傷ウイルス製剤。テロメラーゼ活性が高まっている癌細胞の中で特異的に増殖して癌細胞を殺すが、正常細胞中での増殖能力は弱く、細胞毒性を示さないのが大きな特色。

 フェーズ1試験は、米Mary Crowly Medical Research Centerで、各種固形癌患者の中でも既存の治療法では効果が得られず、他に有効な治療の選択肢のない患者で、悪性黒色腫や表皮に転移が起きた患者などを対象に行われた。12人中11人が安定状態(SD)となり中には腫瘍が縮小した患者も見られた。現在米国では食道癌を対象に放射線と併用するフェーズ2が計画されているという。