腹腔鏡下胆嚢摘出術では、胆道損傷を避けるために術中胆道造影がよく行われる。しかし、チューブの挿入操作は煩雑で胆道損傷の危険もある。これに対し、蛍光色素インドシアニングリーンを用いる方法は、X線被曝がなく、簡便かつ有用であることが明らかになった。社会保険中央総合病院外科石沢武彰氏が第109回日本外科学会定期学術集会で発表した。

 石沢氏は、昨年経験した3例の症例を提示し、手技の実際を紹介した。手術開始30分前にインドシアニングリーンを静注、胆汁中のタンパクと結合して発光するインドシアニングリーンを蛍光撮影するために、腹腔鏡下手術で用いる硬性鏡の先端に赤外光観察用のフィルターを接続する。画像は足元のスイッチで容易に切り替えられるので、何度も繰り返し胆道の走行を確認できる。

 「胆嚢管、胆嚢、総胆管の位置関係が明瞭に把握でき、腹腔鏡下手術終了まで蛍光は持続した。胆嚢管結石による胆汁の途絶も明瞭だった。リアルタイムに周辺組織まで十分観察できるので安心感があり、胆管損傷の回避に有用と考えられた」と石沢氏は結論づけた。期待の現れか、会場からは多くの質問が寄せられ、それに対し石沢氏は開腹手術時にも胆嚢管の同定が可能であること、急性胆嚢炎など炎症による壁肥厚があっても胆嚢管が同定できることを強調した。

 石沢氏は、今後の課題として、総胆管結石をどの程度描出できるか、そしてまだ製品化のめどが立っていないことを挙げた。安全性、有効性のさらなる検討が必要だが、術中造影が不要になるかもしれない新たな方法の実用化を期待したい。