骨盤内の切除不能な進行・再発癌によりイレウスを併発した患者に対し、症状の改善のために双孔式ストーマが造設される。患者のQOLの向上につながる管理しやすいストーマの造設に関して、6月18、19日に東京都で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で、市立室蘭総合病院緩和ケアチームの渋谷均氏が発表した。

 骨盤内の切除不能な進行・再発癌に併発したイレウスに対しては、腸管内の減圧を目的として双孔式ストーマの造設が行われる。

 渋谷氏らは、このような癌で下部消化管閉塞症状が出現した患者に対する双孔式ストーマ造設の意義、ならびに造設法を検討した。

 検討の対象は、前述の癌で下部消化管閉塞症状を呈した26人(平均年齢68歳、男女比1.2:1)。疾患の内訳は、直腸癌13人、S状結腸癌7人、卵巣癌5人、前立腺癌1人だった。

 ストーマを造設した位置は、S状結腸が最も多く20人(77.0%)、横行結腸5人(19.2%)、右側結腸1人(3.8%)であった。

 術前にイレウスを併発していたのは22人(84.6%)で、PSは0〜1が17人、2が9人であった。術後はPS 0〜1が21人、2は5人となり、9人は一時退院が可能となった。

 ストーマ造設によりイレウスやサブイレウスを解除することで、嘔気・嘔吐や腹部膨満、重苦感を取り除き、食事摂取が可能となり、QOLの改善から退院や術後の後療法につながる場合もある。

 消息が判明している20人の予後をみると、死亡時期は3カ月以内6人、3〜6カ月5人、6〜12カ月4人、12〜24カ月5人で、平均生存期間は257日であった。12カ月以上の生存例は卵巣癌と前立腺癌に多かった。

 双孔式ストーマの問題として、ストーマ旁ヘルニアや粘膜皮膚離開などの合併症が多く、さらにその形態やストーマ径の大きさから管理が困難となるケースが多いことがあげられる。このような状況は終末期の患者および介護者にとって大きな負担となる。

 渋谷氏らは、残された時間に限りがある患者のQOLに最も重要な「管理しやすく合併症のないストーマ」を造設している。

 Loop式S状結腸ストーマ造設法では、腹直筋内で縦2.5cm、横2.0cm程度切開し、腸管を3〜4cm引き出す。口側の腸管をまくり上げるように縫合し、便が排出される口側は大きく、排便に関して機能しない肛側はできるだけ小さく吻合する。この方法で造設した双孔式ストーマは、一見すると単孔式ストーマのように見える。

 渋谷氏らはこの方法により、ストーマの最大径を2.6〜3.2cm程度にとどめている。また終末期の患者の臥床時間が長くなることを考慮し、ストーマの高さを1.2〜1.8cm程度維持できるようにしている。この高さがあることで、便がフランジと皮膚の間に漏れ出すことを抑えることができる。