全国のがん診療連携拠点病院(がん拠点病院)、緩和ケア病棟在宅ホスピスなどの施設を対象に行われた遺族調査「J-HOPE研究」の結果が報告された。全般的に「満足」という結果は得られたものの、がん拠点病院における苦痛の緩和には改善の必要があることが示された。6月18日、19日と東京都内で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で、東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野の宮下光令氏が発表した。

 同研究は、癌終末期ケアの質の評価を行うために実施された遺族への調査。調査の結果を参加施設にフィードバックし、ケアの質の評価・質の改善の指標の1つにすることが目的とされた。

 癌の終末期患者に対する緩和ケアの評価は、遺族によって行われるのが世界的な標準で、日本では過去2回、緩和ケア病棟を対象に実施されている。

 国内では3回目となる今回の調査は、緩和ケア病棟100施設に加えて、がん拠点病院の一般病棟56施設、在宅ケア施設14施設が対象とされた。

 研究期間は、2007年から2008年。郵送によって行われ、回収率はがん拠点病院が53%(発送4841人/回収2560人)、緩和ケア病棟が67%(発送7892人/回収5311人)、在宅ケア施設が65%(発送448人/回収292人)で、トータルでの回収率は62%(発送1万3181人/回収8163人)と世界最大規模の調査となった。

 調査項目は「ケアプロセス(Care Evaluation Scale)」や「アウトカム(Good Death Inventory)」など。

 研究の結果、ケアプロセスの「医師は患者のつらい症状にすみやかに対処していた」に対する回答は、拠点病院で55%、緩和ケア病棟が78%、在宅ケア施設が77%。「看護師は必要な知識や技術に熟練していた」への回答は、拠点病院が51%、緩和ケア病棟76%、在宅ケア施設が78%と、いずれもがん拠点病院での評価が低い結果となった。

 発表した宮下氏は調査結果から、がん拠点病院については、「医師への信頼感」や「人として大切にされる」などの基本的なケアについては、満足感が得られたとしながらも、苦痛の緩和については50%が不十分と回答している点を強調し、早急な改善が必要であると指摘した。

 また、緩和ケア病棟と在宅ケア施設に関しては、全般的な満足度や苦痛の緩和など基本的な項目で遺族が高く評価していると示唆する一方で、2002年と2007年とを比較して改善がみられなかった項目として、「医師が患者や家族に将来の見通しについて十分説明した」や「支払った費用は妥当だった」「必要なときに待たずに利用できた」などだったことを指摘した。