国内初の大規模癌遺族調査OPTIM-SUTY」の研究結果が報告された。全体的な満足度や医師への信頼などの評価は高かったものの、苦痛の緩和に関しては十分な水準に達していないことが示された。6月18日、19日と東京都内で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野の宮下光令氏が発表した。

 終末期の癌患者ケアに対する質の評価は、遺族調査が世界の標準的な方法となっている。

 国内では、緩和ケア病棟、在宅ホスピス、がん診療連携拠点病院における全国的な調査は実施されているものの、地域をベースとした調査は行われていない。

 同研究は、地域の病院(一般病棟や緩和ケア病棟など)や診療所を対象に癌患者の遺族に対する緩和ケアの質の評価を行ったもので、2007年4月から2008年10月までに癌で死亡した患者の遺族に対して調査用紙を送付して実施された。

 調査地域は、鶴岡や柏、長崎などの25の病院と18の診療所で、病院はがん拠点病院の一般病棟とがん拠点病院以外の一般病棟、緩和ケア病棟などに分類された。調査項目の内容は「緩和ケアのプロセス(Care Evaluation Scale)」「アウトカム(Good Death Inventory)」「全般満足度」で、回収率は69%だった。

 死亡場所は、一般病棟が76%、緩和ケア病棟が18%、自宅が6%で、患者の年齢は各施設とも60〜79歳までが最も多く、遺族の年齢は60歳代が多かった。

 調査項目中、アウトカムに対する回答では、「医師を信頼していた」が78%、「ひととして大切にされていた」が85%で、全般的な満足度は79%と高かったものの、「痛みが少なく過ごせた」は55%、「からだの苦痛が少なく過ごせた」は51%と、疼痛や苦痛の緩和に対しては十分な水準に達していないことが判明した。

 同研究における評価では、全体的に診療所が最もよく、続いて緩和ケア病棟、一般病院の一般病棟、拠点病院の一般病棟の順だった。

 発表にあたった宮下氏は、地域の緩和ケアの質を向上させるには、病院における癌患者の苦痛の緩和を図る必要があると訴えるとともに、看取りが可能な診療所が増えると緩和ケアの質が向上する可能性があると述べている。