終末期癌患者の在宅看取り率は、年齢が若い女性が主介護者の場合や世帯人数が多い家庭で高く、在宅移行はこうした家庭状況を正確に把握した上で検討する必要があることが、在宅医療クリニックの検討から示された。6月18日、19日と東京都で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で、すぎもと在宅医療クリニックの杉本由佳氏が発表した。

 癌患者の在宅移行が推進されているが、患者が自宅で最後を迎えることを希望しても、家族が24時間介護にあたる在宅への移行は容易なことではない。

 すぎもと在宅医療クリニックは医師1人の在宅に特化したクリニックで、全患者の70%が終末期癌患者である。杉本氏は、終末期癌患者の在宅看取り率が、主介護者・主介護者と患者の性別・世帯人数などにより影響を受けているかについて、同クリニックの患者データベースから調査した。

 対象期間は2002年1月から2009年12月までの8年間で、対象となった死亡癌患者は206人(男性92人、女性114人)だった。

 死亡癌患者を含む悪性疾患患者(245人)の内訳で最も多かったのは胃癌(18%)で、大腸癌(16%)、肺癌(15%)、乳癌(8%)が続いた。在宅医療処置・管理の内訳では疼痛管理が最も多く(66%)、在宅中心静脈栄養(53%)、在宅酸素(38%)、褥創管理(22%)、ストーマや瘻孔の管理(20%)がこれに続いた。

 死亡癌患者206人中、在宅死は159人(77%)、病院死は47人(23%)だった。在宅死した患者の割合を性別でみると男性では92人中72人(78%)、女性では114人中87人(76%)となった。

 患者が男性の場合、主介護者の大半は妻(71%)で、娘(16%)、嫁(5%)の順に多かった。一方、患者が女性の場合、主介護者は娘(44%)、夫(27%)、息子(10%)の順であった。

 主介護者の比率は、娘と妻(各46%)、夫(21%)、嫁(11%)の順であったが、在宅看取り率は嫁が93%で最も高く、次いで娘(83%)、姉妹と親(各80%)、妻(74%)であった。年齢の若い女性が主介護者の家庭で在宅看取り率が高い傾向がみられた。

 対象の世帯人数は2人が84%で最も多く、次いで3人が60%であった。在宅看取り率は世帯人数が多いほど高い結果となり、6人以上では100%、独居では67%であった。

 在宅医療では患者の介護に加えて家事も必要となるため、介護と家事を同時にこなせる主介護者、または主介護者をサポートできる家庭が必要であることが示される結果となった。杉本氏は「在宅移行を行う際には家庭状況を確認し、介護力不足の場合には在宅移行中止も検討すべき。核家族化が進行する中、適切な退院コーディネートの必要性が今後高まると考えられる」としている。