上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)が奏効したものの、その後、増悪し、殺細胞性抗癌剤による治療が困難な非小細胞肺癌患者において、ゲフィチニブやエルロチニブの継続投与は生存期間を延長させ、有害事象は軽度であることが示された。日本赤十字社医療センター化学療法科の宮本信吾氏らが、6月18日、19日と東京都で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で報告した。

 対象は、EGFR-TKI(ゲフィチニブあるいはエルロチニブ)で治療効果が見られた非小細胞肺癌の患者33人で、増悪後、EGFR-TKIを1カ月以内に中止した群(16人)と継続した群(17人)を比較した。

 患者の年齢中央値は2群とも69歳、男性が継続群は6人、中止群は4人、喫煙歴ありがそれぞれ5人と6人だった。PS 0〜2は2群とも2人、PS 3が継続群は9人、中止群は8人で、PS 4が2群とも6人と、全身状態の不良な患者が多く、殺細胞性抗癌剤を用いることができなかった。

 組織型は腺癌が大半を占め、継続群では腺癌が16人、扁平上皮癌が1人、中止群は16人全員が腺癌だった。また増悪前の治療効果は継続群では部分奏効が14人、病勢安定が3人、中止群は部分奏効が16人で、2群間の患者背景に違いはなかった。

 しかし、生存期間中央値は継続群で191日、中止群は62日と、EGFR-TKI 継続群で有意に長かった(p=0.0098)。生存期間129日以上に対し、重回帰分析で関連する因子を解析した結果、「治療継続あり」のみで有意差が認められた。

 有害事象は17人で評価され、グレード1の皮疹が6人、グレード2が1人、グレード1の下痢が1人、グレード1のAST/ALT上昇が4人だった。宮本氏は「終末期のため検査の施行回数が少なく、過小評価されている可能性はあるが、管理可能で、継続投与による重篤な副作用はなかった」とした。

 継続群の患者17人中12人には患者側の意志で治療継続が行われたが、実際には経済的な面から「緩和ケア病棟で抗癌剤を継続投与することは難しく、将来的には緩和ケアにおける抗癌剤の位置づけを見直す必要があるだろう」と宮本氏は述べた。