病棟で緩和ケアが必要と判断され緩和ケアチームPCT)に依頼があった患者において、見落とされやすい症状は「認知機能障害」や「心のつらさ」などの精神症状や「呼吸苦」であることが、PCTと病棟チームの問題項目の検出の違いを比較した結果から示された。6月18日、19日と東京都で開催された第15回日本緩和医療学会学術大会で、慶應義塾大学病院緩和ケアチームの安達昌子氏が発表した。

 緩和ケアでは、患者の身体症状だけでなく精神症状も包括的に評価し、支援する必要がある。

 同院のPCTの活動は、病棟チームから依頼を受けて支援に当たるコンサルテーション業務が主体となっている。安達氏らは、より適切なコンサルテーションに役立てることを目的として、PCT依頼症例について、PCTと病棟チームが検出した問題項目を比較検討した。

 対象は、2008年1月〜2009年12月にPCTに依頼があり、データの照合が可能であった178人。男性が57%を占めた。年齢は60〜69歳が30%で最も多く、次いで50〜59歳と70歳以上が各22%だった。癌種では消化器癌が42%で最も多く、PSは0〜2が41%、3が35%、4は24%であった。

 PCT依頼時に使用されるM.D. Anderson Symptom Inventory(MDASI)に基づいた包括的アセスメントシートから、全9項目の設定項目について、PCTと病棟チームが共通して検出した項目と、PCTのみが検出した項目を比較した。

 両チームで共通して検出された問題で最も多かったのは「疼痛」で、「心のつらさ」「睡眠障害」が続いた。

 PCTのみが検出した問題で最も多かったのは「認知機能障害」で、PCTによる検出の割合は52%、次いで「心のつらさ」45%、「呼吸苦」27%で、精神症状と呼吸苦に関する見落としが病棟チーム側に多くみられた。

 これらの項目の有意な背景因子として、「認知機能障害」ではPS 0〜2、PS 4、「心のつらさ」では血液がん、PS 0〜2、PS 4、「呼吸苦」ではPS 0〜2、70歳以上、が示された(p<0.05)。

 身体機能が安定している患者、または逆に身体機能がかなり低下している患者は、病棟では精神症状が認識されにくい傾向がみられた。考えられる要因として、身体機能が安定している患者では精神症状が表出されることが少ないこと、逆に身体機能が低下している患者では身体症状の緩和が中心となることが挙げられる。また、呼吸苦は患者の訴えがなければ認識されにくい症状である。

 一方、病棟チームのみで検出される割合が高く、PCTで検出される割合が低かったのは「食欲不振」「倦怠感」であった。このような症状の検出レベルを高く設定していたこと、病棟チームが積極的に介入しPCT依頼時には改善していた可能性などが関与したと考えられる。

 安達氏は、「精神症状や呼吸苦は病棟において見落とされやすい症状であり、スクリーニングの強化が必要。患者や病棟スタッフが利用しやすい症状スクリーニングの手法の確立が求められる」と考察した。