子宮頸癌IB2-IIB期で腫瘍径が大きい病変に対し、広汎子宮全摘出術(RH)を実施する前に、術前化学療法を行い、再発高リスク群のみに術後補助療法を追加することで、6割の患者は再発せず、7割は無病生存であったことが、単施設での後方視的検討で確認された。5月10日から札幌市で開催された第65回日本産科婦人科学会学術講演会で、鳥取大学医学部生殖機能医学(産科婦人科学)の出浦伊万里氏らが発表した。

 同施設では、手術の根治性の向上と術後補助療法の回避を期待して、腫瘍径4cm以上の子宮頸癌に対し、術前化学療法を行っている。

 対象は、術前化学療法を行った子宮頸癌IB2-IIB期で腫瘍径が大きい病変を有する患者65人。術後補助療法は再発高リスク(子宮傍結合織浸潤陽性、骨盤リンパ節転移陽性)の患者のみに行った。

 FIGO進行期分類のIB2期は30人、IIA2期は7人、IIB期(bulky tumor)は28人だった。扁平上皮癌が51人、非扁平上皮癌(腺癌、腺扁平上皮癌)が14人。腫瘍径は50mm(40-85mm)だった。

 術前化学療法のレジメンは、イリノテカン+ネダプラチンが28人、DC療法(ドセタキセル+カルボプラチン)が24人、BOMP 療法/BMP療法(ブレオマイシン(+ビンクリスチン)+マイトマイシンC+シスプラチン)が10人、MEP療法(マイトマイシンC+エトポシド+シスプラチン)が3人。

 なお扁平上皮癌にはイリノテカン+ネダプラチン、DC療法、BOMP 療法/BMP療法を、非扁平上皮癌にはDC療法、MEP療法を行った。投与回数は1回が8人、2回が41人、3回が16人であった。

 治療の結果、抗腫瘍効果は、CRが6人、PRが48人、SDが9人、PDが2人で、奏効率は83%であった。また扁平上皮癌に限ると、CRが6人、PRが38人で、奏効率は86%、非扁平上皮癌では、CRが0人、PRが10人で、奏効率は71%だった。

 実際にRHを行った62人のうち、術後補助療法が不要であった患者は33人。術後補助療法を行ったのは29人で、うち27人は同時化学放射線療法(CCRT)、2人は化学療法のみであった。
 
 術後補助療法を行わなかった33人中、再発したのは6人、術後補助療法を行った29人では15人が再発した。全体として、65人中41人(63%)は再発しなかった。また術後補助療法を行ったが再発した15人のうち、子宮傍結合織浸潤陽性(6人)で再発したのは1人、骨盤リンパ節転移陽性(13人)で再発は7人、子宮傍結合織浸潤陽性かつ骨盤リンパ節転移陽性(10人)では7人が再発した。
 
 患者の転帰は、術後補助療法なしで再発しなかった27人、術後補助療法なしで再発した6人中5人、さらに術後補助療法を行い再発しなかった14人の合計46人(71%)は無病生存であった。しかし術後補助療法を行ったが再発した15人では、3人は有病生存だが、11人は原病死、1人は他病死であった。
 
 5年無病生存率と5年生存率は、FIGO分類や組織型では有意な違いはなかったが、子宮傍結合織浸潤の有無では有意差があり、子宮傍結合織浸潤陽性例の5年無病生存率は46%だが、陰性例では68%、5年生存率はそれぞれ48.4%、85.3%であった。また骨盤リンパ節転移でも、陽性例の5年無病生存率は30.9%だが、陰性例では80.1%、5年生存率はそれぞれ41.2%、96.6%だった。
 
 これらの結果から出浦氏は、「CCRTと比べて予後が良いかどうかは、今回の検討ではいえないが、術前化学療法と手術を行い、再発高リスク群にのみ術後補助化学療法を行う治療で、4割は術後補助療法なしでも再発せず、6割は術後補助療法を加えることで再発しなかった。また7割は再発をしてもレスキューできることがわかった。術前化学療法を加えた治療は意義があるだろう」とした。ただし「骨盤リンパ節転移症例の予後は極めて不良であることから、今後治療法を再考する必要がある」と述べた。