子宮頸癌の根治手術後の再発症例における再発部位と再発後の予後に関するレトロスペクティブな検討から、扁平上皮癌(SCC)はnon-SCCよりも再発後治療に抵抗性であり、かつ骨盤内再発が独立した予後不良因子となる可能性が示された。5月10日から12日まで札幌市で開催された日本産科婦人科学会第65回学術講演会で、東京大学産科婦人科学の佐藤雅和氏、川名敬氏らが発表した。

 子宮頸癌の手術療法施行例はI-II期であり、一般に再発率は低いが、再発すると治療抵抗性となることが多く、再発後の予後は良好とは言えない。

 佐藤氏らは、再発部位を中心に再発後生存期間の予後規定因子を抽出し、術後療法・再発後治療の課題について検証することを目的として、レトロスペクティブな検討を行った。

 対象は、1989年から2010年に同科で初回治療として根治手術を施行した子宮頸癌I-II期の253人のうち、再発症例の49人(平均年齢49.1歳)。FIGO分類でI期は14人(29%)、II期は35人(71%)だった。組織型分類でSCCは31人(63%)、non-SCCは18人(37%)だった。

 手術療法では、広汎子宮全摘出術に加え、Ib2-IIb期には傍大動脈リンパ節郭清も施行した。初回治療が手術療法のみだったのは10%で、術後放射線は63%、術後化学放射線療法は27%に行われた。
 
 再発部位は、骨盤内のみが33%、骨盤内+骨盤外は12%、骨盤外のみは55%だった。

 再発後の全生存期間(再発後OS)中央値は15.6カ月、5年生存率は19.1%となった。

 再発後生存の予後因子についての単変量解析では、組織型(SCC vs non-SCC)がハザード比2.03(95%信頼区間:1.01-4.37)で、独立した予後因子として抽出された(p=0.0449)。

 そのため組織型別に再発後OSを比較すると、一般的に予後が良好とされるSCCであるが、ひとたび再発した場合はその後の予後は有意に不良という結果になった。再発後OS中央値は、SCCで12.6カ月、non-SCCで39.9カ月となり、5年生存率はそれぞれ13.5%と30.2%となった(p=0.0487)。

 SCC症例で再発後生存の予後因子について単変量解析を行うと、子宮傍組織浸潤(陽性 vs 陰性)と骨盤内再発(有 vs 無)が独立した予後因子として抽出された(それぞれp=0.0468、p=0.0246)。多変量解析では、骨盤内再発がハザード比2.25(95%信頼区間:0.94-5.66)で、有意差はなかったものの、骨盤内再発有で予後不良となる傾向が示された(p=0.0667)

 SCC症例の再発部位別に予後をみると、再発後OS中央値は、骨盤内再発有で11.5カ月、骨盤内再発無で18.5カ月、5年生存率はそれぞれ0%と25.4%となった(p=0.0211)。

 SCC症例がnon-SCC症例と比べて有意に予後不良であり、さらにSCC再発症例のうち、骨盤内再発を来した症例の予後はきわめて不良であることが示された。

 佐藤氏は「再発症例は、ほぼ全例で術後骨盤内外照射を施行されている。一般にSCCは放射線感受性がnon-SCCよりも高いが、それにも関わらず照射野内再発したSCCは、non-SCC以上に治療抵抗性が強いと考えられる。このようなSCC症例は、可能なら外科的摘出を考慮するか、化学療法の工夫や新たな治療法の開発が待たれる」と話した。

 子宮頸癌のSCC再発症例における分子マーカーについての検討では、Ki-67低発現例よりもKi-67高発現例で再発後の予後が良好となる傾向が示された(p=0.0623)。

 佐藤氏は「Ki-67高発現例には、再発後の既存の治療法が奏効する症例が存在すると考えられる。Ki-67染色は簡便な検査法であり、再発後の予後を知るバイオマーカーとして有用な可能性が示唆された」と話した。