上皮性卵巣癌に対する初回化学療法として、DC療法(ドセタキセル、カルボプラチン)は骨髄抑制が強いものの、神経毒性は軽度であり、完遂率が高く、有用なレジメンと考えられることが、フェーズ2の西日本婦人科悪性腫瘍研究会(WJGOG)021/061試験から示された。5月10日から12日まで札幌市で開催された日本産科婦人科学会第65回学術講演会で、久留米大学医学部産科婦人科学講座の牛嶋公生氏がWJGOGを代表して発表した。

 上皮性卵巣癌の術後初回化学療法では、TC療法(パクリタキセル、カルボプラチン)が現在の標準とされている。欧米からは、DC療法はTC療法と効果が同等であり、ドセタキセルはパクリタキセルと比べて末梢神経障害の頻度が低いことが報告されている。一方、日本ではドセタキセルを卵巣癌初回化学療法に用いた多数例の報告は少ない。

 卵巣癌に対する初回化学療法として、DC療法とSequential投与による併用療法を比較するWJGOG021試験が計画されたが、2002年から2年間で20人しか登録されずに中途中断となり、その後はDC療法群のみで登録が行われていた。

 牛嶋氏らは、WJGOG021試験のDC療法群に登録された症例を含む単群のフェーズ2試験を新たに計画し、FIGO分類でIc-IV期の上皮性卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜腫瘍の初回治療例を対象として、DC療法の有用性を検討することとした。今回は、2006年から2009年10月までにWJGOG061試験に登録された症例も含め、WJGOG021/061試験として解析した。

 治療として、ドセタキセル70mg/m2、カルボプラチンAUC5を1日目に投与し、21日毎に6-8サイクル繰り返した。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は安全性、奏効率、生存期間中央値(MST)、完遂率だった。

 解析対象は、021試験から21人、061試験から63人の計84人(年齢中央値56.5歳)となった。組織学的分類では漿液性腫瘍が43人で最も多かった。FIGO分類のIII、IV期は57人(67.9%)だった。

 治療サイクルの平均は5.7サイクル、6サイクル以上の完遂率は76.2%となった。

 観察期間中央値は26.4カ月で、主要評価項目であるPFS中央値は31.3カ月となった。全症例の2年無再発率は60.7%で、III、IV期の57人のPFS中央値は19.5カ月だった。

 全症例の全生存率(OS)は83%で、III、IV期の2年OSは67%となった。

 測定可能病変を有した31人において、完全奏効(CR)は13人、部分奏効(PR)は8人で得られ、奏効率は67.7%となった。

 有害事象の評価は全症例で行い、グレード3以上の血液毒性は、白血球減少症が93%、好中球減少症が58.3%、発熱性好中球減少は17.8%に発現した。血小板減少は7.1%だった。血液毒性により減量を要したのは13.1%だった。

 非血液毒性は許容範囲のものだった。グレード2以上の非血液毒性は、悪心が33.3%、嘔吐が30%、食欲不振が39.3%、便秘が35.7%、脱毛が60.7%に発現した。グレード2以上の末梢神経障害は、運動性が2.4%、感覚性が10.7%(グレード0:64%)に認められた。

 同試験におけるDC療法の有用性は、複数のフェーズ2試験や英国で行われたフェーズ3のSCOTROC試験の報告とほぼ同等であり、安全性もSCOTROC試験と同様だった。

 牛嶋氏は「再発後にも数多くの化学療法が用いられるようになり、初回TC療法による末梢神経障害が長期間持続している症例が存在する。末梢神経障害が軽度である点は患者のQOLの維持に重要な要素であり、初回化学療法におけるDC療法の意義が見直されるべきと考える」と結んだ。