子宮頸癌の原因ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)の陽性率は若年者ほど高く、複数のHPV型が認められる多重感染の割合も同年代で高いことが、診療所を中心に全国71施設で行われた多施設共同研究J-HERSで明らかになった。5月10日から札幌市で開催された第65回日本産科婦人科学会学術講演会で、J-HERS研究グループを代表して、豊見城中央病院産婦人科の前濱俊之氏が発表した。

 対象は、2011年10月から2012年3月に、全国71施設に来院した女性7019人(16-50歳)。液状検体での細胞診検査とHPV検査を実施し、HPV検査はPCR法とLuminex法により31種類のHPV型の検出が行われた。
 
 細胞診が適正と判断された6831人のうち、16-19歳は88人、20-29歳が2245人、30-39歳が2729人、40-50歳が1769人で、患者の平均年齢は33.7歳であった。
 
 解析の結果、HPV陽性率は40.6%(2776人)だった。年齢別には16-19歳では60%(53人)、20-29歳が48%、30-39歳が41%、40-50歳が30%で、16-19歳は40-50歳に比べ有意に陽性率が高かった(p<0.001)。
 
 多重感染は、HPV陽性患者の47.2%に認められた。多重感染も若年者ほど多く、16-19歳ではHPV陽性患者のうち68%(36人)、20-29歳では58%、30-39歳は43%、40-50歳が34%であった。
 
 また対象者のうち、子宮頸癌検診で来院した女性は2892人(検診群)、それ以外は子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)や尖圭コンジロームの既往歴を含め、何らかの婦人科疾患で来院した女性であった。
 
 検診群において、HPV陽性率は24.3%(702人)であった。年齢別に16-19歳では42%(8人)、20-29歳では34%、30-39歳は23%、40-50歳が14%だった。またHPV陽性患者の39.9%に多重感染が認められ、16-19歳では71%(5人)、20-29歳では53%、30-39歳は35%、40-50歳が17%だった。
 
 細胞診では、ベセスダシステムでNILM(異常なし)が80.9%、扁平上皮内病変の疑いがあるASC-USが7.9%、ASC-Hが1%、軽度の扁平上皮内病変(LSIL)が6.3%、高度の扁平上皮内病変(HSIL)が3.6%、扁平上皮癌(SCC)が0.1%(8人)、腺癌が0.03%(2人)だった。
 
 細胞診の結果とHPV16型および18型陽性を組み合わせると、NILMではHPV16/18型陽性は6%だが、LSILでは19%、HSILでは43%、扁平上皮癌では50%、腺癌では100%が陽性であった。
 
 これらの結果について前濱氏は、「開業医を対象にした調査であったため、子宮頸癌が気になる患者さんが多いというバイアスはあるが、若年者でHPV陽性率が高いことは確実だ。やはり10代前半でのワクチン接種は意味があるだろう」と話した。