子宮頸部に浸潤を疑う子宮体癌に対し、広汎子宮全摘術と準広汎子宮全摘術、単純子宮全摘術における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、無再発生存期間に有意な違いがない可能性が、後方視的多施設研究(GOTIC-005)で明らかになった。第65回日本産科婦人科学会学術講演会で、北関東婦人科がん臨床試験コンソーシアムを代表して、防衛医科大学校産科婦人科の高野政志氏が発表した。

 子宮体がん治療ガイドライン2009年版では、臨床進行期II期に対し、広汎子宮全摘術または準広汎子宮全摘術が望ましいとされている。しかし中リスクあるいは高リスクの患者には化学療法を追加することもあり、術式による予後改善効果については議論がある。また肥満や合併症のため広汎子宮全摘術が困難な患者も少なくない。

 そこで術前に子宮頸部に浸潤があると診断された子宮体癌で、1995年から2009年に治療を開始した患者を対象に、子宮や卵管、卵巣、腟、リンパ節など広汎に切除する広汎子宮全摘術(RH群74人)、子宮、卵巣、卵管、膣の一部などを切除する準広汎子宮全摘術(mRH群112人)、子宮を切除する単純子宮全摘術(SH群114人)におけるOS、PFS、無再発生存期間、手術副作用を調べた。

 RH群(74人)、mRH群(112人)、SH群(114人)で、年齢、PS、BMIに有意な違いはなかったが、術前の頸管浸潤やリンパ節郭清の程度がRH群で高度であった。

 3群を比較した結果、OS、PFS、無再発生存期間のいずれにおいても有意な違いは見られなかった。また頸部間質浸潤の患者に限っても同様で、子宮摘出術式による予後の違いはなかった。

 多変量解析の結果、年齢、組織型、腹水細胞診が、無再発生存期間、PFS、OSに関する独立因子であった。またリンパ節転移は無再発生存期間およびOSに関する予後因子であることが示された。しかし術式は予後に対する独立因子ではなかった。

 手術副作用については、周術期、晩期合併症として、手術時間、出血量、輸血頻度がRH群に有意に高頻度であった。またグレード2以上の排尿障害がRH群では74人中11人で認められ、mRH群は1人のみ、SH群では0人であった。

 この結果から、「子宮頸部に浸潤を疑う子宮体癌に対し、本当に広汎子宮全摘術が必要なのかどうか、改めて問題提起をしたい」と高野氏は話した。