術中超音波検査(エコー)は、CTとの比較において、婦人科悪性腫瘍における傍大動脈リンパ節(PAN)転移に関し、感度、陰性的中率、PAN郭清省略可能率が高く、PAN郭清を省略するツールとして有用と考えられることが示された。5月10日から12日まで札幌市で開催された日本産科婦人科学会第65回学術講演会で、奈良県立奈良病院産婦人科の杉浦敦氏が発表した。

 婦人科悪性腫瘍において、PAN転移を術前・術中に予測するさまざまな手法が検討されているが、実臨床ではいまだ確立されていない。

 杉浦氏らは、子宮体癌、卵巣癌、卵管癌におけるPAN転移を予測する手段として、術中エコーでリンパ節サイズを測定することにより、PAN郭清省略が可能な症例の同定を試みている。

 2010年8月から2012年9月までに、子宮体癌、卵巣癌、卵管癌について、患者の同意を得たうえで術中エコー(5mm以上腫大したリンパ節を転移陽性と判定)を行い、さらにPAN郭清を行った全46人を対象として、PANサイズと転移との関係を統計学的に検討した。

 46人の内訳は、子宮体癌26人、卵巣癌・卵管癌20人だった。pT分類は、子宮体癌ではpT1aが18人、pT1bが3人、pT2が3人、pT3aが2人、卵巣癌・卵管癌ではpT1aが7人、pT1cが4人、pT2bが2人、pT3cが7人だった。

 術前CTでPAN膨大は3人(子宮体癌)、術中エコーで5mm以上腫大したリンパ節は18人(子宮体癌10人、卵巣・卵管癌8人)だった。

 子宮体癌の26人中では2人にPAN転移を認め、2人とも術中エコーでは腫大を認めたが、CTでは1人のみだった。卵巣癌・卵管癌の20人中では4人にPAN転移を認め、このうち3人は術中エコーで腫大を認めたのに対し、CTではいずれも腫大を認めなかった。

 これらの結果から、術中エコーの感度は83.3%(5/6)、陰性的中率は96.4%(27/28)、術中エコーによりPAN郭清を省略したPAN郭清省略可能率は60.9%(28/46)となった。これに対し、CTはそれぞれ16.7%(1/6)、88.4%(16/17)、93.5%(43/46)となった。

 杉浦氏は「術中エコーはCTと比較して、PAN転移を予測しPAN郭清を省略するツールとして非常に有用と考えられた。またPAN郭清を省略する場合の条件として、97%程度の陰性的中率が許容されるかの検討が必要と思われる」と話した。