進行・再発卵巣粘液性腺癌に対し、SOX療法(S-1、オキサリプラチン)は忍容性があり、病勢を制御して、予後延長に寄与する可能性が、多施設共同フェーズ2試験で明らかになった。第65回日本産科婦人科学会学術講演会で、日本卵巣粘液性腺癌研究会を代表して、鳥取大学医学部生殖機能医学分野の島田宗昭氏が発表した。

 卵巣癌の組織型のうち粘液性腺癌は予後不良といわれ、化学療法による奏効率も低い。一方、基礎的な検討で粘液性腺癌においては他の組織型と異なり、消化器癌に多いk-ras変異が認められる。また細胞レベルの研究で、5-FUやオキサリプラチンに対する感受性が示されている。

 そこで、進行・再発卵巣粘液性腺癌に対し、SOX療法(S-1、オキサリプラチン)のフェーズ2試験が行われた。主要評価項目は奏効率、副次評価項目は薬物有害反応、無増悪生存期間、全生存期間。化学療法による効果判定および病理判定は中央判定委員会で行われた。

 患者の年齢中央値は56歳(27-77歳)、進行癌が24人、再発癌が16人で、化学療法による治療歴がない患者が11人、1レジメンの治療歴がある患者が21人、2レジメン以上の患者が8人であった。

 SOX療法は、1サイクルを3週間として、オキサリプラチン100mg/m2を第1日目に、S-1は80-120mgを14日間投与した。

 中央病理診断の結果、原発性卵巣粘液性腺癌は40人中14人で、膵臓や胃、大腸などを原発巣とする転移性卵巣粘液性腺癌が19人と半数近くに及んだ。また粘液性腺癌以外の卵巣癌は7人であった。原発性卵巣粘液性腺癌の診断率は35%であり、診断の難しさを示した結果となった。

 化学療法による効果は、卵巣粘液性腺癌全体での奏効率は12.1%、病勢制御率は69.6%であった。このうち原発性卵巣粘液性腺癌での奏効率は0%、病勢制御率は64.2%で、転移性卵巣粘液性腺癌では奏効率が21%、病勢制御率は73.6%であった。

 グレード3/4の血液毒性は、好中球減少(28.2%)、貧血(20.5%)、血小板減少(10.3%)、白血球減少(5.1%)が見られた。グレード3/4の非血液毒性は、低カリウム血症(7.7%)が認められたが、管理可能であった。また食欲不振(7.7%)や下痢(5.1%)など消化器毒性が認められた。

 この結果から島田氏は、「SOX療法は腎機能に問題がなければ、利便性が高い治療法である。卵巣粘液性腺癌は若年の患者が多いが、今回の試験でSDが認められたことから、生存期間を延ばす可能性が期待できる」と話した。卵巣粘液性腺癌に関しては、GOG でTC 療法±ベバシズマブとオキサリプラチン+カペシタビン療法±ベバシズマブの4 群比較の国際的フェーズ3試験が行われている。