進行固形腫瘍の患者に対し、メソセリンに対するキメラ型モノクローナル抗体のamatuximabは安全で忍容性が良好と考えられることが、フェーズ1試験から示された。8月29日から31日まで仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門(現:大阪医科大学附属病院 がんセンター)の藤阪保仁氏が発表した。

 メソセリンはすべての膵癌と中皮腫に発現する膜タンパク質で、正常組織ではほとんど発現しない。amatuximabは、in vitroとin vivoの異種移植片モデルにおいて、ヒトの腫瘍に発現するメソセリンの増殖を阻害することが示されている。

 藤阪氏らは、日本人の進行固形腫瘍の患者を対象として、amatuximabの用量制限毒性(DLT)と最大耐用量(MTD)を評価することを主要目的とする、フェーズ1、非盲検の増量試験を行った。副次的な目的は、amatuximabの薬物動態の検討、ヒト抗キメラ抗体(HACA)の検出、抗腫瘍効果の評価だった。

 対象は、標準治療に不応または抵抗性で、他に適切な治療がない、メソセリン陽性の固形腫瘍の患者とした。

 治療は1サイクルを4週とし、amatuximabは週1回、進行またはDLTを認めるまで投与を継続した。step-wise dose escalation mannerで、amatuximabは50 mg/m2、100 mg/m2、200mg/m2の用量で3つのコホートに投与した。最初のコホート(3人)でサイトカイン放出症候群が発現したため、プロトコールを改訂し、前投薬としてアセトアミノフェンとジフェンヒドラミンの予防的投与を行うこととした。

 58人が登録され、適格基準を満たしたのは17人(年齢中央値62.0歳、男性12人)だった。このうち7人は大腸癌、6人は膵腺癌、2人は中皮腫、2人は頭頸部癌だった。amatuximabは、7人に50mg/m2、3人に100mg/m2、7人に200mg/m2を投与した。

 DLTは2人で観察され、最初のコホートで50mg/m2を投与した1人にグレード3のサイトカイン放出症候群が、200mg/m2を投与した1人にグレード5の間質性肺疾患が発現した。MTDには200mg/m2で達していない。

 治療に関連する有害事象は17人中13人に観察され、頻度が高かった有害事象として、グレード1の倦怠感が5人(29.4%)、発熱が4人(23.5%)に発現した。用量依存性の毒性は観察されなかった。サイトカイン放出症候群は、前投薬を投与していない最初のコホートの1人ではグレード3だったが、前投薬の投与を開始したコホート(14人)では、グレード2の事象が2人となった。

 HACAは治療前に1人、治療中と治療終了後に7人に出現し、計8人(47.1%)で検出された。HACAが出現すると、amatuximabの血中濃度が低下する傾向がみられた。

 50mg/m2を投与した膵腺癌の1人では、8サイクルの投与が可能で、この間の長い安定状態(SD)が得られた。

 現在、amatuximabについて、中皮腫に対する可能性の検討が進められている。