前治療歴のある転移した消化管間質腫瘍(GIST)へのレゴラフェニブの安全性と有効性が、アジア人のサブグループ解析でも確認された。フェーズ3試験であるGRID試験のアジア人サブグループ解析の結果で、8月29日から仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、韓国のUniversity of Ulsan College of MedicineのYoon-Koo Kang氏が発表した。

 GRID試験は、イマチニブ及びスニチニブによる治療で病勢が進行した切除不能または転移を有するGIST患者を対象に、レゴラフェニブの有効性と安全性を検討した国際共同二重盲検のランダム化比較フェーズ3試験。欧州、北米、アジア太平洋地域(日本を含む)の17カ国が参加した。

 対象は、18歳以上、ECOG PSが0-1、イマチニブ及びスニチニブによる治療で病勢が進行した切除不能または転移を有するGIST患者199人。レゴラフェニブ群またはプラセボ群に2:1で割り付けし、レゴラフェニブは3週間毎日160mgを経口投与し1週間休薬するスケジュールで投与した。レゴラフェニブ群は133人、プラセボ群は66人。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、独立した評価グループが判定した。

 全体の解析結果はすでに発表されており、レゴラフェニブ+支持療法(BSC)群(133人)のPFS中央値は4.8カ月で、プラセボ+BSC群(66人)の0.9カ月と比べ、有意に改善したことが報告されている。部分奏効(PR)が5%(6例)、病勢安定(SD)は71%(96例)、奏効率は5%、病勢コントロール率は53%だった。

 今回発表したのはアジア人症例47人を対象にしたサブグループ解析の結果。国別の内訳は、日本人17例、韓国16例、中国11例、シンガポール3例。レゴラフェニブ群が32人、プラセボ群が15人。

 患者背景は全体集団とほぼ同様だったが、アジア人サブグループはやや若年で、男性割合が高く、ECOG PS 1の患者割合が多い、BMIが低い、前治療レジメン数が3つ以上の患者割合が少ないなどの傾向があった。レゴラフェニブ投与群の患者背景を見ると、年齢中央値はアジア人が56歳、全体が60歳、ECOG PS 1は66%、45%、前治療レジメン数が3つ以上は31%、44%、イマチニブによる治療期間が18カ月以上だった患者割合は66%、67%、投与期間中央値は19.0週間、22.9週間、用量強度中央値は72.7%、78.0%だった。

 解析の結果、アジア人サブグループのレゴラフェニブ群のPFSは3.9カ月で、プラセボ群の1.1カ月と比べて有意に改善した(ハザード比0.30、95%信頼区間:0.15-0.62、p=0.0003)。SDが78%(25例)、奏効率は0%、病勢コントロール率は41%だった。

 安全性プロファイルは、GRID試験全体の結果と同様だった。レゴラフェニブに関連した有害事象で最も多かったのは、手足症候群で78%、口内炎が44%、高血圧が41%、脱毛症が38%だった。

 薬剤関連有害事象についてアジア人サブグループと全体集団を比較すると、全てのグレードの手足症候群の発現率は全体で56%だったのに対し、アジア人が78%と高かった。一方、全てのグレードの下痢、疲労は、アジア人がそれぞれ25%、22%だったのに対し、全体が40%、39%で、全体の方が発現率が高かった。

 手足症候群のうちグレード1-2の割合を比較すると、アジア人が63%、全体は36%、グレード3についてはそれぞれ16%、20%で、アジア人ではグレード1-2の発現率が高いことが示された。肝機能障害(ALT上昇、AST上昇、ビリルビン上昇)に関しても、全体集団と比べアジア人において高頻度だったが、グレード1-2の割合が全体集団よりも多かった。

 有害事象による治療中断率は、レゴラフェニブ群とプラセボ群で同程度だった

 さらにTKI耐性に関わる遺伝子の検討を行うため、血清を基にDNA変異の有無を解析した。対象は、全体集団が163例、アジア人が27例で、うちKIT遺伝子の変異の有無について解析可能だったのはそれぞれ58%、67%。1次耐性に関与するとされるエクソン9または11の変異割合を見ると、全体集団においてはエクソン9が15%、エクソン11が12%、アジア人においてはそれぞれ19%ずつだった。2次耐性に関与するとされるエクソン13/14、またはエクソン17または18の変異の有無については全体集団においてエクソン13/14の変異がある患者は25%、エクソン17/18は64%、両方ともは12%、アジア人においてはそれぞれ43%、43%、14%だった。

 レゴラフェニブ群におけるPFSの改善効果は、1次耐性もしくは2次耐性に関与するとされるKIT遺伝子変異の有無によらなかった。

 これらの結果からKang氏は、「アジア人のサブグループ解析においても、レゴラフェニブ投与群はプラセボ群と比べ、有意にPFSを改善した。また、安全性と忍容性は全体解析と同様の傾向を示し、有害事象の発現頻度は用量調整により大半が管理可能だった。レゴラフェニブはKIT遺伝子の変異の有無に関わらず、プラセボ群と比べ、PFSを有意に改善させた」と語った。