悪性胸水のある非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+パクリタキセル療法(CP療法)にベバシズマブを併用投与すると、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)濃度が低下し、高い胸水コントロール率が得られたことが報告された。8月29日から仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター肺腫瘍内科の田宮基裕氏が発表した。

 悪性胸水は非小細胞肺癌患者の約15%で認められる。悪性胸水患者では、血清中のVEGF濃度が高く、VEGFが悪性胸水の形成に重要な役割を果たしている可能性が指摘されている。そこで田宮氏らは、ベバシズマブを投与することで悪性胸水が改善すると考察し、フェーズ2試験を実施した。

 主要評価項目は有効性。副次評価項目は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、安全性、悪性胸水のコントロール、血清中のVEGF濃度など。

 対象は、ステージIV、ECOG PSが0-2、ドレナージを要する悪性胸水のある未治療の非扁平上皮非小細胞肺癌患者23例。脳転移症例は除外した。

 ドレナージ後に投与を開始した。1サイクルを3週間とし、1サイクルの1日目にはCP療法としてカルボプラチン(AUC6)とパクリタキセル(200mg/m2)を投与。2〜5サイクルの1日目に、CP療法にベバシズマブ(15mg/kg)を併用投与した。少なくとも4サイクルの導入療法を完遂後に評価を行い、病勢進行した症例については試験中止。そのほかの症例は、病勢進行するまで3週間おきのベバシズマブ15mg/kg投与を継続した。

 患者背景は、年齢中央値は68歳、男性割合が78.3%、ECOG PS 1が69.6%、PS 2が21.7%、全例が腺癌で、EGFR野生型は82.6%、ALK陰性は60.9%、ドレナージ後の完全再膨張例は73.9%だった。

 追跡の結果、部分奏効(PR)が60.9%(14例)、病勢安定(SD)が26.1%(6例)で、奏効率は60.9%、病勢コントロール率は87.0%だった。PFS中央値は7.1カ月(95%信頼区間:5.6-9.4)、OS中央値は11.7カ月(同:7.4-16.8)。

 試験期間中の胸水コントロール率(胸水が増加しなかった患者の割合)は91.3%(21例)で、ドレナージ後に再膨張しなかった6例のうち4例で胸水が増加しなかった。維持療法に移行した患者は69.6%(16例)だった。
 
 3サイクル施行後の血清中VEGF濃度は、ベースライン時と比べて全例で低下した(p<0.01)。

 安全性については、グレード4の好中球減少が60.9%、グレード3については白血球減少が34.8%、好中球減少が21.7%、食欲不振が26.1%、発熱性好中球減少症が21.7%など。

 これらの結果から田宮氏は、「CP療法へのベバシズマブ併用投与は、悪性胸水のある非小細胞肺癌患者に対して有効と考えられた。特に、ドレナージ後に完全再膨張しない症例に対しても非常に有効であった可能性がある」と語った。また、全症例で血清中のVEGF濃度が低下したことから、「ベバシズマブがVEGFの作用を抑制し、細胞の透過性や胸水の形成が抑制され、高い胸水コントロール率が得られた可能性が考えられる」と考察した。