治療歴のあるALK変異陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対し、ALK阻害剤クリゾチニブは、標準的な化学療法(ペメトレキセドまたはドセタキセル)より有効であることが、無作為化フェーズ3試験PROFILE1007の日本人を対象としたサブ解析で明らかになった。8月29日から宮城県仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、近畿大学医学部内科学腫瘍内科の中川和彦氏らが発表した。

 PROFILE1007試験は、3B期/4期のALK変異陽性NSCLCで、プラチナ製剤をベースにした化学療法による前治療が1回ある患者を対象に、クリゾチニブと標準的な二次治療薬(ペメトレキセドまたはドセタキセル)を比較した。347人が登録され、クリゾチニブ群(173人)には3週おきにクリゾチニブ250mgを1日2回経口投与した。化学療法群(174人)には3週おきにペメトレキセド500mg/m2(化学療法群の57%)またはドセタキセル75mg/m2(同41%)を投与した。

 この結果、主要評価項目である独立画像審査委員会による無増悪生存期間(PFS)は、化学療法群に比べてクリゾチニブ群で有意に優れており、副次評価項目の奏効率も有意に良好な結果であった。

 同試験への日本人の登録は10施設69人(全体の20%)だった。クリゾチニブ群が40人、化学療法群が29人で、ペメトレキセド投与は16人(55.2%)、ドセタキセル投与は13人(45%)だった。

 PFS中央値は、全患者では、クリゾチニブ群で7.7カ月、化学療法群は3.0カ月だった(ハザード比0.49、95%信頼区間:0.37-0.64、p<0.0001)。日本人患者では、クリゾチニブ群は7.7カ月と、全患者の結果と同じだった。一方、化学療法群のPFSは4.2カ月だった(ハザード比0.47、95%信頼区間:026-0.86、p=0.0062)。

 化学療法群を薬剤別に分けると、全患者では、ペメトレキセド群のPFS中央値は4.2カ月(ハザード比0.59、95%信頼区間:0.43-0.80)、ドセタキセル群は2.6カ月であった(ハザード比0.30、95%信頼区間:0.21-0.43)。日本人患者では、ペメトレキセド群は5.7カ月(ハザード比0.76、95%信頼区間:0.36-1.60)、ドセタキセル群は2.7カ月であった(ハザード比0.47、95%信頼区間:0.26-0.86)。

 奏効率は、全患者では、クリゾチニブ群で65.3%、化学療法群では19.5%だった(オッズ比3.4、95%信頼区間:2.5-4.7、p<0.0001)。日本人患者では、それぞれ73%、28%となった(オッズ比2.7、95%信頼区間:1.4-5.0、p=0.0001)。化学療法群の薬剤別では、全患者では、ペメトレキセド群の奏効率は29.3%、ドセタキセル群は6.9%で、日本人患者では、それぞれ50%、0%となった。

 またOSの中間解析では、全患者において、2群間に統計学的な有意差はなかった(ハザード比1.02、95%信頼区間:0.68-1.54、p=0.5394)。日本人患者でも有意な違いは見られなかった(ハザード比0.763、95%信頼区間:0.32-1.80、p=0.2679)。

 日本人患者におけるクリゾチニブ群の主な有害事象(AE)は、視覚障害(93%)、下痢(78%)、吐き気(73%)、嘔吐(65%)、トランスアミナーゼ上昇(58%)、便秘(48%)だった。グレード3のAEはトランスアミナーゼ上昇(23%)、好中球減少症(18%)、倦怠感(5%)、便秘(3%)、食欲低下(同)、めまい(同)だった。グレード4の有害事象はなかった。

 死亡数は全患者では、クリゾチニブ群で25人(15%)、化学療法群で7人(4%)であった。日本人患者ではクリゾチニブ群で4人(10%)、化学療法群で1人(3%)であり、クリゾチニブ群における死因は病勢進行と治療関連(ILD/肺臓炎)が各2人だった。

 また治療関連による投与中止は、全患者では、クリゾチニブ群で6%、化学療法群は10%で、日本人患者では、それぞれ18%、3%であった。

 以上の結果から、日本人サブグループでも全患者の結果と同様の有効性が示されたとした。また有害事象の発現率は日本人患者で高い傾向があったが、クリゾチニブと化学療法はどちらも日本人患者において忍容性があり管理可能であるとした。