進行肺癌患者に対する早期からの緩和ケアチーム介入により、12週後のQOLスコアが改善し、さらに患者が評価するQOLと主治医が推定する患者のQOLの差を埋める可能性もあることが、QOL変化の研究の中間解析から示された。8月29日から31日まで仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、横浜市立市民病院緩和ケア内科の横山太郎氏が発表した。

 横山氏らは、日本人の進行肺癌患者を対象として、早期からの緩和ケアチーム介入がQOLを改善するかを前向きに評価した。さらに、医療者が認識していない苦痛を改善させることがQOL改善につながったとする仮定のもと、患者自身が行うQOL調査に加えて主治医が患者のQOLを推定し、その差を評価した。主要評価項目は、緩和ケアチーム介入開始時と12週後のQOLの差だった。

 対象は、新規にIV期の肺癌と診断され、PSは0から3、1カ月以上の生存が期待でき、同意取得時の年齢が満20歳以上の患者とした。

 緩和ケアを受ける癌患者用の短縮版QOL尺度であるEORTC QLQ c-15-PAL(ver 1)を用いて、患者にQOL調査を行った。主治医にも同様のQOL調査を行い、患者QOLを推定した。緩和ケアチームによる介入は、点数が2-4点の項目を中心に、1カ月に1回以上行った。介入開始後12週の時点で、患者と主治医に同様のQOL調査を再度行った。

 新規にIV期の肺癌と診断された患者は84人だった。このうち44人が本研究に登録され、12週の緩和ケアチームによる介入はこれまでに30人で終了し、現在4人で進行中である。死亡や転院により10人は中断となった。30人中、希望者25人には介入期間終了後も介入が継続され、このうち13人は死亡し、1人は転院した。

 登録された44人(年齢中央値67歳、男性34人)において、PS 1が25人で最も多く、次いで2が11人、3が7人、0が1人だった。組織型では腺癌が25人、次いで小細胞癌11人だった。転移部位では胸膜が10人、骨が9人、脳、肝、肺が各8人だった。

 主要評価項目である12週後のQOLは、改善が21人、不変が4人、増悪が5人だった。

 EORTC QLQ-c15−PALでは、15項目目の「全体のQOL」を除き、スコアが高いほど症状の悪化を示す。12週後のQOL調査の項目ごとの改善度を「介入時のQOLスコア−12週後のQOLスコア」でみると、改善傾向が強い項目はプラスに、乏しい項目はマイナスに傾く。改善傾向が強かった項目は、不眠(差:16点)、便秘(11点)、痛みとADL(10点)、緊張(14点)、改善傾向に乏しかった項目は、歩行の程度(−2点)、PS(0点)、ADL(2点)に加え、化学療法の有害事象として発現しやすい、倦怠感(7項目目:2点、11項目目:1点)、悪心・嘔吐(0点)だった。

 介入時に患者が評価したQOLと主治医が推定した患者のQOLの差が大きかった項目は、不眠(30点)、倦怠感(同:29点、35点)、便秘(32点)、緊張(32点)、抑うつ(29点)で、このうち不眠、便秘、緊張に関しては、12週後の改善傾向も強かった。一方、倦怠感については見逃されやすいことが示された。

 介入時に主治医が推定した患者のQOLと実際の患者のQOLの差が大きかったものの多くで12週後の改善傾向も強かったことから、横山氏は「主治医が認識していない症状がQOL調査に基づいた緩和ケアで改善し、結果的にQOLの改善につながった可能性がある」と考察した。

 本研究では目標症例数の40人に到達次第、最終解析を行う予定であるという。