日本人の局所進行または転移を有する進行乳癌患者に対し、21日毎のramucirumab10mg/kgとドセタキセル75mg/m2の併用療法は十分な忍容性があることが、フェーズ1b試験で示された。8月29日から31日まで仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、愛知県がんセンター中央病院乳腺科の岩田広治氏が発表した。

 ramucirumabは、VEGFR-2の細胞外ドメインに結合するようデザインされた完全ヒト化IgG1モノクローナル抗体。現在、さまざまな癌腫でフェーズ3試験が進行中で、乳癌ではファーストライン治療を検討するROSE試験がある。ただし、日本はこのフェーズ1b試験の進行が遅れたため、ROSE試験に参加することができなかった。

 岩田氏らは、日本人の局所進行または転移を有する乳癌でHER2陰性の患者を対象として、21日毎のramucirumab 10mg/kgとドセタキセル75mg/m2の併用療法の有用性を評価する、多施設共同、非盲検、単群のフェーズ1b試験を実施した。主要目的は、同併用療法の安全性と忍容性を検討し、フェーズ3のTRIO-012試験で評価されたこの推奨量を確認することだった。

 最初のコホートに6人を予定し、用量制限毒性(DLT)は1サイクル目に評価した。DLTの発現が2人未満の場合は推奨量を安全と考えた。DLTが2人に発現した場合は、コホートに3人まで追加し、このうち1人にDLTが発現した場合はドセタキセルを60mg/m2に減量した。ドセタキセル60mg/m2で1人にDLTが発現した場合は試験を中止した。3人以上にDLTが発現した場合は、ドセタキセル60mg/m2の用量で患者を追加、または試験を中止した。

 DLTの定義には、7日以上継続するグレード4の好中球減少、38.5度以上の発熱を伴い抗生剤の静脈内投与を必要とするグレード3以上の好中球減少、QTc延長、管理不能なグレード4の高血圧などを含めた。1サイクル目と2サイクル目の間隔が2週間を超えた場合もDLTとした。

 7人(全例女性、年齢中央値58歳)が登録され、転移部位は肝臓が71%で最も多かった。7人中6人が化学療法と内分泌療法を受け、全例が手術を受けていた。

 DLTの評価期間である1サイクル目に、全グレードの有害事象は両剤ともに全例に発現した。グレード3以上の有害事象は、ramucirumabに関連するとみられる事象は3人、ドセタキセルに関連するとみられる事象は7人、重篤な有害事象(SAE)はそれぞれ1人と3人に発現した。グレード4の好中球減少は6人(86%)、グレード3または4の発熱性好中球減少は3人(43%)、グレード3の歯肉炎と白血球減少は各1人(14%)に発現し、その後のサイクルでも血液毒性は多く観察された。

 DLTは7人中2人(28.6%)に発現し、内訳はグレード3の発熱性好中球減少と歯肉炎が各1人だった。2人とも適切な管理で改善し、安定状態(SD)が得られたため、2サイクル目以降も投与が継続された。

 その他の重篤な有害事象として、間質性肺疾患(ILD)の2回のイベント(グレード1と2)が同一患者に発現し、グレード2の心不全の合併も認められた。試験担当医師はこの症例をILDと判断したが、独立したILDの判定委員会は心毒性に伴うものと判断した。

 1サイクル目に試験治療の薬剤の投与を中止した患者はいなかった。ramucirumabの治療期間中央値は36週、投与回数の中央値は9回、累積投与量の平均は90.81mg/kg、全サイクルの相対的用量強度(中央値)は86.12%となった。長期投与中に4人(57.1%)が1剤以上を中止し、理由は顔面浮腫、末梢浮腫、血小板減少、ILDと胸水だった。

 有効性として部分奏効(PR)が4人で得られ、奏効率は57%となった。薬物動態では、ramucirumab、ドセタキセルがそれぞれに影響するような変化はみられなかった。

 岩田氏は「国際的なフェーズ3試験への参加を予定して本試験を実施したが、参加することができなかったため、今後のramucirumabの開発については、日本で新たな臨床試験を計画する必要がある」と述べた。