好中球減少患者に対し、何らかの食事制限を行っている医師は65%存在し、食事制限を開始する時期は「好中球数500 /μL未満」になった時が7割を占めることが明らかになった。「好中球減少患者における食事制限に関するアンケート調査」の結果によるもので、8月29日から仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、愛知県がんセンター愛知病院呼吸器内科の高橋孝輔氏が報告した。

 癌化学療法に伴う好中球減少により感染症のリスクが高まる。昨年発刊された日本臨床腫瘍学会の発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドラインでは、魚、肉、卵など生ものの摂取について、エビデンスは少ないが、避けるべきであると記載されている。好中球減少時の食材をよく加熱することは推奨グレードC1、生の果物や野菜を十分に洗浄することは推奨グレードAで示されている。

 そこで高橋氏らは、癌化学療法時の食事制限がどの程度行われているのか、その実態を調査するため、アンケートを実施した。

 まず、2013年1月時点で日本臨床腫瘍学会により認定されたがん薬物療法専門医680人に対し、アンケート用紙を送付し、387人から回答があった(回収率56.9%)。その中で発熱性好中球減少症の診療をしていると回答した370人の食事制限についての対応について解析した。なお、質問票では造血幹細胞移植症例は除外して回答するよう指示した。

 医師の勤務先は、大学病院が42%、がんセンターが15%だった。診療期間が10〜19年の医師が60%、20年以上が37%を占めた。専門は、腫瘍学が61%、血液学が26%、呼吸器学が27%。

 「好中球減少時、感染予防のために食事制限(生ものの摂取禁止など)を行いますか?」という質問に対して、65%(241人)の医師が「はい」と回答した。このうち、疾患別に食事制限の有無を聞いたところ、急性白血病では99%、その他の血液腫瘍では69%、固形癌では57%だった。

 制限する生ものの食事の種類は、魚介類が96%、卵が83%、肉が97%、野菜が50%、果物が33%。食事制限を開始する時期は、「好中球数500 /μL未満」が70%、「好中球数1000 /μL未満」が16%。また、食事制限を解除する時期は、「好中球数500 /μL以上」に回復した時が43%、「好中球数1000 /μL以上」が45%だった。

 高橋氏は食事制限の必要性について、「私見では、特定の食物が危険というわけではなく、自分の口に入るまでの衛生管理ができているかが肝心ではないかと思う。食物の保管や調理の面での衛生管理を適切に行えば、食物の内容はそれほど制限しなくても安全性が担保されるのではないかと考えているが、それを証明するには比較試験が必要」と指摘。今後は、全ての癌種において好中球減少時の食事制限を同様に行うべきか、入院時のような食事提供時の衛生管理が行われている環境でも食事制限が必要か、そもそも食事制限自体が必要なのか、などについて検討が必要であると語った。