高齢の癌患者が増加する中、患者のリスクを評価して適切な治療介入を行うことの必要性が高まっている。癌に特化した米国の高齢者総合的機能評価ツールの日本語版が作成され、タブレット端末で容易に実施できることが確認された。同ツールは高齢大腸癌患者を対象にした全身化学療法のフェーズ3試験に導入される。8月29日から仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、杏林大学医学部腫瘍内科の長島文夫氏らが発表した。

 高齢者総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)は、高齢者のリスク評価を行い、身体機能予備力を引き出す診療支援を行うために開発されたもの。米国で開発された癌専用のCGA(Cancer-Specific Geriatric Assessment:CSGA)には、身体機能(日常生活動作ADLや転倒回数等)、使用薬剤、合併症、抑うつ、認知機能、社会的支援、栄養・体重減少の評価が含まれている。

 長島氏らは、厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業「高齢がん患者における高齢者総合的機能評価の確立とその応用に関する研究」を進めている。その中で、CSGAの日本語版を開発し、高齢者を対象に電子端末で実施可能かどうかの試験を行った。なお日本語版の開発にあたり、社会的支援の中に介護保険に関する質問項目を追加した。

 65歳以上の癌患者22人を対象に、CSGA日本語版を実施した。患者の平均年齢は72.5歳で、およそ半数が肺癌患者であった。この結果、22人中20人が完遂した(91%)。実施には自記式部分は平均で29.8分、医療者実施部分は9.6分を要した。一部の患者では入力の支援が必要だったが、9割以上の患者は患者自身で入力が可能だった。

 現在、JCOG大腸癌グループにおいて、高齢者を対象とした全身化学療法の無作為化フェーズ3試験JCOG1018が進められており、付随研究として高齢者総合的機能評価(VES-13、CSGA)が行われている。CSGA日本語版はダウンロードが可能で、CSGAの結果はJCOGデータセンターにアップロードするシステムを構築している。