シスプラチン+ビノレルビンによる術後補助化学療法後に再発した非小細胞肺癌(NSCLC)に対する1次治療としてプラチナ併用化学療法は有効で、忍容性が高い治療である可能性が示唆された。8月29日から8月31日まで仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、静岡がんセンター呼吸器内科の今井久雄氏が発表した。

 現時点でII〜IIIA期の非小細胞肺癌に対する術後補助化学療法は、シスプラチン+ビノレルビン併用化学療法のエビデンスレベルが最も高い。また、シスプラチン+ビノレルビン併用術後補助化学療法により5年生存率が15%改善したが、再発率も36.0%だったことが報告されている。さらに、再発時の1次治療としてプラチナ製剤を含む併用化学療法の有効性と安全性に関する報告はない。

 そこで今井氏らは、シスプラチン+ビノレルビンによる術後補助化学療法後の再発非小細胞肺癌の1次治療として、プラチナ製剤を含む併用化学療法の有効性と安全性を後ろ向きに検討した。

 対象は、II〜IIIA期で、完全切除後にシスプラチン+ビノレルビンによる術後補助化学療法を実施し、2005年4月〜2012年7月に3施設(西群馬病院、順天堂大学医学部付属病院、静岡がんセンター)で再発後の1次治療としてプラチナ併用化学療法を実施した非小細胞肺癌患者16例。

 患者背景は、年齢中央値が63歳、PS 0が62.5%、術後病理病期はIIIAが68.3%、IIAが25.0%、腺癌が93.7%。手術形式は肺葉切除が93.7%、EGFR野生型は75.0%、変異型は12.5%を占めた。再発時の臨床病期は全例がステージIVだった。術後補助化学療法を3サイクル以上受けたのは93.7%で、無再発生存期間(RFS)中央値は635.5日、術後補助化学療法の最終投与日から再発時治療開始までの期間中央値は583日。

 再発時の1次治療は、シスプラチンを用いた併用療法が6例、カルボプラチン併用療法が10例。3サイクル以上完遂した患者割合は75.0%、治療サイクル数中央値は4コース(範囲2-6、維持療法は含まず)で、治療中止理由は病勢進行、毒性がそれぞれ12.5%ずつで、治療関連死はなかった。

 その結果、部分奏効(PR)が5例、病勢安定(SD)が8例で、奏効率は31.2%、病勢制御率は81.2%。また、再発後1次治療のPFS中央値は6.5カ月、OS中央値は28.0カ月だった。

 RFS別に1次治療の成績を検討した結果、RFS 12カ月未満のグループのPFS中央値は5.8カ月、RFSが12カ月以上のグループは8.2カ月で、統計学的に有意差はなかった(p=0.19)。また、RFS 12カ月未満のOS中央値は14.3カ月、RFS 12カ月以上の患者は42.0カ月で、RFS 12カ月以上のグループで良好な傾向が見られた。

 グレード3以上の有害事象は、好中球減少、血小板減少がともに31.2%、白血球減少が12.5%、低ナトリウム血症が12.5%。難聴、神経毒性、腎機能障害、アレルギーなどプラチナ製剤を繰り返し投与することによる毒性は目立たなかった。

 これらの結果から今井氏は、「シスプラチン+ビノレルビンによる術後補助化学療法施行後に再発した非小細胞肺癌の1次治療としてのプラチナ併用化学療法は有効であり、忍容性も高い治療であると考えられた」と語った。