ゲムシタビン耐性の進行膵癌に対する2次治療として、S-1単独療法の投与期間と休薬期間を短縮した3週サイクル(2週投薬1週休薬)投与は、標準用法の6週サイクル(4週投与2週休薬)投与と比べて、有効性を低下させず、悪心・嘔吐の発現割合を減少させることが報告された。8月29日から8月31日まで仙台市で開催された第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、日本医科大学付属病院薬剤部の田中弘人氏(演題投稿時の所属は国立がん研究センター東病院薬剤部)が発表した。

 ゲムシタビン耐性進行膵癌に対する2次治療においてS-1療法を行う場合、標準用法である6週レジメンは食欲不振や悪心、下痢などの消化器毒性により治療中止に至る症例がある。一方、進行胃癌や進行頭頸部癌では、投与期間と休薬期間を短縮した3週サイクルで投与することで有効性を低下させず、有害事象が軽減したことが報告されている。

 そこで、田中氏らの施設(国立がん研究センター東病院肝胆膵内科と薬剤部)では、消化器毒性を軽減するため、2008年から2週間投与1週休薬レジメン(3週レジメン)を導入した。今回、この3週レジメンの有効性と安全性を確認するため、診療録を基に後方視的に比較した。

 対象は、2003年4月〜2012年8月にゲムシタビン耐性進行膵癌患者に対し、2次化学療法としてS-1療法を実施した125人。内訳は、2003年4月〜2008年9月に6週サイクルで投与した57人と、2008年10月〜2012年4月に3週サイクルで投与した68人。

 患者背景は、腹水例を除いて有意差はなかった。年齢中央値は6週サイクル群が62歳、3週サイクル群が65歳、PS 0または1の患者割合はそれぞれ57.9%、48.5%、遠隔転移割合は96.5%、88.2%、腹水例は29.8%、54.4%。前治療でゲムシタビン単剤で治療した患者の割合はそれぞれ93.0%、85.3%。

 その結果、全生存期間(OS)中央値は、6週サイクル群が4.8カ月(95%信頼区間:4.8-6.6)、3週サイクル群が5.7カ月(同:3.9-5.7)で、両群間に有意な差はなかった(p=0.13)。また、無増悪生存期間(PFS)中央値はそれぞれ2.1カ月(95%信頼区間:1.2-3.0)、1.9カ月(同:1.5-2.3)だった(p=0.19)。

 奏効率は、6週サイクル群が7.0%、3週サイクル群が7.4%、腫瘍制御割合は49.1%、42.6%で、ともに有意差はなかった(それぞれp<0.99、p=0.48)。S-1の相対用量強度(RDI)は6週サイクル群が90%、3週サイクル群が93%で差がなかった(p=0.26)。

 グレード2以上の消化器毒性の発現割合を比較すると、悪心は6週サイクル群が33%、3週サイクル群が15%(p=0.02)、嘔吐がそれぞれ19%、1%(p<0.01)で、3週サイクル群で発現割合が有意に低下した。また、消化器毒性は6週サイクル群が46%、3週サイクル群が29%(p=0.07)、食欲不振がそれぞれ39%、22%(p=0.05)で、有意差はなかったが、3週サイクル群で発現割合が減少する傾向が見られた。

 これらの結果から田中氏は、「進行膵癌の2次化学療法において、3週サイクルのS-1療法は、6週サイクルと比べて、有効性を低下させずに、消化器毒性を軽減させる治療法であると考えられた」とまとめた。