MET、VEGFR2、RET等を阻害する経口剤であるcabozantinib(XL184)は、治療歴のある日本人固形癌患者に対し忍容性があり、フェーズ2試験への推奨用量は60mgであることがフェーズ1試験で明らかになった。また非小細胞肺癌(NSCLC)と消化管間質腫瘍(GIST)で抗腫瘍効果が確認された。8月29日から仙台市で開催されている第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の軒原浩氏らが発表した。現在、NSCLC患者を対象に探索的研究が進行している。

 cabozantinibは、MET、VEGFR2、RETのほか、ROS1、KIT、AXLも阻害するといわれている。

 フェーズ1試験は、標準治療が適さない進行または転移を有する固形癌患者を対象に、3+3デザインの用量漸増試験として実施された。4週間を1サイクルとしてcabozantinibを1日1回投与した。投与は病勢進行もしくは許容できない毒性の発現まで継続した。cabozantinibは最初に開発されたカプセル剤とその後に開発された錠剤が使用され、初回用量は40mg/日とし、20mgずつ増量した。

 用量制限毒性(DLT)は1サイクル目に評価した。抗腫瘍効果はmRECIST ver1.0を用いて、29日目とその後は8週おきに評価した。

 カプセル剤群(14人)と錠剤群(9人)に分けたところ、年齢中央値はカプセル剤群は56歳、錠剤群は58歳。NSCLC患者がカプセル群は5人、錠剤群が4人で、GIST患者がそれぞれ4人、0人、大腸癌患者が1人、2人、そのほかが4人、3人であった。前治療が1レジメンの患者がカプセル群は2人、錠剤群は0人、2レジメンがそれぞれ5人、1人、3レジメン以上が7人、8人であった。

 カプセル群では、80mgを投与したコホートで5人中1人にDLT(グレード3の高血圧)が認められた。そのため、用量を下げて60mgを3人に投与した結果、60mgを投与した合計6人中1人にDLT(グレード3の高血圧)が認められたことから、フェーズ2試験への推奨用量は60mgと決定された。

 錠剤群では、60mgを投与したコホートで6人中1人にDLT(グレード2の蛋白尿、グレード3の静脈血栓塞栓症)が認められたことから、フェーズ2試験の推奨用量は60mgと決定された。

 抗腫瘍効果は22人で検討された。NSCLC患者7人で腫瘍縮小が認められ、4人では確定部分奏効と判定された。4人の腫瘍縮小率は41%、40%、38%、33%で、治療期間中央値は9カ月、4カ月、16カ月、10カ月であった。また4人のうち、EGFR遺伝子変異を有する患者が1人、RET融合遺伝子を有する患者が1人、ALK融合遺伝子を有する患者が2人だった。

 GIST患者4人では全員がイマチニブとスニチニブによる治療歴があり、cabozantinib投与により病勢安定となった。腫瘍縮小率は3人がそれぞれ25%、15%、8%で、1人は5%増で、治療期間中央値は21カ月、8.3カ月、9カ月、6.6カ月だった。また甲状腺髄様癌(MTC)患者1人で部分奏効が認められた。
 
 有害事象は22人で検討された。全体的に軽度から中等度で、手掌・足底発赤知覚不全症候群(palmar-plantar erythrodysesthesia syndrome)、高血圧、下痢、口内炎、皮疹、頭痛などが認められた。主なグレード3以上の有害事象は、高血圧とγグルタミルトランスフェラーゼ増加が各14%(3人)、手掌・足底発赤知覚不全症候群と好中球減少症が各9%(2人)だった。
 
 定常状態におけるAUCはcabozantinib 40mgおよび60mgにおいて、カプセル剤と錠剤で同等だった。

 フェーズ1試験で有望な結果が得られたことから、同試験ではNSCLC患者を対象に探索的研究を進めている。EGFR阻害剤の治療歴があるEGFR遺伝子変異陽性患者、KRAS遺伝子変異陽性患者、およびALK阻害剤の治療歴があるALK融合遺伝子陽性患者/RETまたはROS融合遺伝子を有する患者、各15人ずつ(計45人)でcabozantinibの効果を検討する。