日本人癌患者に対する抗MET抗体onartuzumabは、単剤もしくはエルロチニブとの併用投与のいずれでも高い忍容性が確認された。現在、非小細胞肺癌を対象にエルロチニブとの併用で国際共同フェーズ3試験、国内フェーズ2試験が進行中であることも紹介された。フェーズ1a/1b試験の結果について、8月29日から仙台市で開催されている第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で、がん研究会がん研有明病院呼吸器内科の堀池篤氏が発表した。

 METはチロシンキナーゼ受容体の1つで、そのリガンドは肝細胞増殖因子(HGF)だ。METは上皮成長因子受容体(EGFR)と共発現し、EGFRのリガンド産生を亢進する。またMETの発現は、非小細胞肺癌では予後不良因子であることも明らかにされている。onartuzumabはMETを標的としたヒト化モノクローナル抗体で、METへのHGFの結合を阻害する。なお、ADCC活性は持たない。

 今回報告されたのは、日本人を対象にしたフェーズ1a/1b試験の結果で、固形癌を対象に用量制限毒性(DTL)を評価する部分と、MET陽性非小細胞肺癌を対象とした部分の2つのステージに分かれている。主要評価項目はDLTと有害事象プロファイル、単剤もしくは併用投与の際の薬物動態、単剤投与時の最大耐容量(MTD)と推奨用量。試験計画期間は2011年8月〜2013年3月。

 まず、ステージ1では進行または再発の固形癌患者を対象に、onartuzumabの単剤投与を検討した用量漸増試験を行った。3週間を1サイクルとし、1日目にonartuzumabを静注投与した。1サイクル目はDLT評価期間とした。用量は4mg/kg、15mg/kg、30mg/kgと漸増し、15mg/kg投与時に3例中0例もしくは6例中1例でDLTが発現した場合、ステージ2に移行する。

 用量別の各コホート(4mg/kg、15mg/kg、30mg/kg)ごとに3人ずつの、合計9人(男性6人、女性3人)が登録された。年齢中央値は68歳、転移に対する前治療レジメン数が3つ以上だった患者が7例。固形癌の内訳は、非小細胞肺癌4例、大腸癌3例、胃癌と頭頸部癌が1例ずつだった。

 その結果、評価期間中にDLTは認められず、ステージ2に移行した。ステージ2では、20歳以上、ECOG PSが0または1、最低1つ以上のプラチナベースのレジメンによる前治療歴を持つMET陽性の非小細胞肺癌患者を対象に、onartuzumab+エルロチニブ併用投与の安全性などを検討した。

 onartuzumab 15mg/kgを3週間おきに静注投与し、エルロチニブは150mg/日を連日投与した。3週間を1サイクルとし、最初の1サイクル目はDLT評価期間とした。

 DLTの定義は、グレード4の血小板減少症と3日以上続く好中球減少症、グレード3以上の非血液学的毒性(制御可能な悪心・嘔吐・下痢、一過性の電解質異常、インフュージョンリアクション、グレード3の許容可能な皮膚毒性、7日以内に回復する肝毒性、間質性肺疾患と消化管穿孔、最低で合計8日間のエルロチニブ投与中止が必要となるイベントを除く)。

 6人の患者(男性1人、女性5人)が登録され、年齢中央値は69歳、腺癌5人、扁平上皮癌1人。EGFR野生型3人、変異型3人で、転移に対する前治療レジメン数が3つ以上だったのは3人。

 DLT評価期間中にDLTは見られなかった。onartuzumabの薬物動態は、海外のフェーズ1試験の結果と同様の傾向を示した。また、エルロチニブとの薬物相互作用は見られなかった。

 部分奏効が1例で見られ、2例では9サイクル(6カ月)以上のPFSが得られた。

 これらの結果から堀池氏は、「onartuzumab単剤投与もしくはエルロチニブとの併用投与は、日本人において十分な忍容性が認められた。これまでの海外での試験とほぼ同様の結果が得られた」と語った。

 また堀池氏は、onartuzumabの2つの臨床試験が進行中であることも紹介した。1つ以上のプラチナ併用療法を受けたMET陽性非小細胞肺癌を対象にエルロチニブとの併用を検討する国際共同フェーズ3試験と、国内ではMET陽性、EGFR変異の非小細胞肺癌へのファーストラインとしてエルロチニブと併用投与するフェーズ2試験だ。