日本における進行固形癌患者を対象にした抗HER3抗体であるU3-1287のフェーズ1試験結果から、U3-1287の忍容性が確認されたことが報告された。国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の和久井大氏が、7月28日まで大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会で発表した。

 HER3は、肺癌、乳癌、大腸癌、子宮頸癌、食道癌、肉腫など、多くの固形癌で発現していることが知られている。これまでに米国において抗HER3抗体U3-1287のフェーズ1試験が行われており、20mg/kgまで増量した結果、用量制限毒性は認められず、進行固形癌患者に対して忍容性が確認されたことが報告されている。

 今回のフェーズ1試験では、日本における進行固形癌患者を対象に、抗HER3抗体U3-1287を投与した際の安全性と薬物動態を評価した。
 
 対象は、20歳〜75歳で、一般にHER3が発現していることが知られる癌腫のうち、標準的治療法に無効となった進行固形癌患者9人。ECOG PSが0または1。U3-1287 9mg/kgまたは18mg/kgを1時間点滴静注で3週間ごとに投与することとした。

 用量制限毒性は、発熱性好中球減少症または7日間を越えて持続するグレード4の好中球数減少、グレード4の血小板数減少または輸血を必要とするグレード3の血小板数減少、最大限の支持療法を行ってもコントロール不能なグレード3以上の疲労、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢とした。

 U3-1287は、9mg/kgの投与量レベルに3人、18mg/kgの投与量レベルに6人を登録した。

 患者背景は、男性の割合が56%、ECOG PS1は67%、年齢の中央値は67歳(範囲:50-69歳)。癌腫は、乳癌、子宮頸癌、肉腫が各1人、大腸癌、食道癌、非小細胞肺癌が各2人であった。前化学療法レジメン数の中央値は4レジメン(範囲:2-7)だった。

 有害事象は全9人で確認されたが、ほとんどがグレード1であった。投与量9mg/kgでの1コース目の主な有害事象は、斑状丘疹状皮疹とALT上昇が67%(2人)、口唇炎、そう痒症、AST上昇が33%(1人)に認められた。一方、投与量18mg/kgでは、下痢、口内炎、血小板数減少が33%(2人)だった。

 薬物動態解析では、米国でのフェーズ1試験結果との類似性が確認され、U3-1287の投与量依存的なAUCの増大とCmaxの上昇が認められた。

 9人中4人の患者で病勢安定(SD)が確認され、1人が投与量9mg/kg、3人が投与量18mg/kgであり、4人中2人では約16週間のSDの持続が見られた。

 和久井氏は、日本人の進行固形癌患者へのU3-1287投与は、18mg/kgまで用量規制毒性がなく忍容性があったとし、今後の臨床試験では3週間ごとの18mg/mg投与が推奨されるとした。