成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)で、急性型およびリンパ腫型では、同種造血幹細胞移植を行った患者で予後は改善していたが、くすぶり型では既報に比べ予後は良好でないことが、全国調査で明らかになった。福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科の勝屋弘雄氏らが、7月26日から28日に大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表した。

 成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)が発症の原因である末梢性T細胞腫瘍。ATLは病態によって、急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型に分類され、生存期間中央値(MST)はそれぞれ6.2カ月、10.2カ月、24.3カ月、60カ月以上、4年生存率は5%、5.7%、26.9%、62.8%と報告されている(Shimoyama M. et al.,Br J Haematol 79:428-437,1991)。

 急性型やリンパ腫型、予後不良因子(血清BUN、血清LDH、血清アルブミン)を有する慢性型の治療は、若年者では多剤併用化学療法や同種造血幹細胞移植、高齢者では化学療法、予後不良因子のない慢性型やくすぶり型では急性転化するまで慎重な経過観察が行われる。

 研究グループは、同種造血幹細胞移植や化学療法の導入など、治療法が変化してきたことから、過去10年間の治療の現状をレトロスペクティブに解析した。対象は、2000年1月から2009年5月までに新たにATLと診断された患者。全国から急性型は897人、リンパ腫型が355人、慢性型が172人、くすぶり型は74人のデータが集積された。

 急性型・リンパ腫型ATLの初回治療は94.9%に行われ、ほとんどの患者(98.2%)が化学療法を受け、移植は18.1%に行われていた。化学療法として、65歳以下ではLSG15療法(VCAP/AMP/VECP療法)が多く、65歳超ではCHOP療法が多かった。

 化学療法別の生存期間は、CHOP14療法(140人)ではMSTは8.9カ月、5年生存率は12.4%、CHOP21療法(440人)ではMSTは8.8カ月、5年生存率は7.1%、LSG15療法(365人)では10.7カ月、10.7%だった。またCHOP-V-MMV療法(56人)ではMSTが9カ月、5年生存率は22.2%、mEPOCH療法(42人)では10.2カ月、26.7%と良好だったが、これは「施設間差があり、CHOP-V-MMV療法やmEPOCH療法を受けた患者では移植が40-50%に行われていた」。

 同種造血幹細胞移植は、急性型・リンパ腫型ATLでは65歳以下の33.1%で行われていた。同種造血幹細胞移植を受けた患者のMSTは14カ月、5年生存率は23.7%であった。ドナー別には同胞ドナーであった患者のMSTは17.4カ月、非血縁ドナーでは13.3カ月、また末梢血移植では13.9カ月、骨髄移植は14カ月、臍帯血移植は15.4カ月だった。

 次に、慢性型・くすぶり型ATL患者で、治療を開始するまでの期間中央値は、予後不良因子がある慢性型では2カ月、予後不良因子がない慢性型は61.2カ月、くすぶり型は20.3カ月であった。化学療法としてはCHOP療法が34.9%、LSG15療法が32.9%に行われ、同種造血幹細胞移植は23%に実施されていた。治療開始からのMSTは慢性型が14カ月、くすぶり型が9カ月で有意な違いはなかった。

 慢性型のMSTは30.3カ月、4年生存率は35%、くすぶり型では36.7カ月、43.2%であり、既報(Shimoyama M. et al., 1991)と比べると、くすぶり型のMST、生存率は低下していた。ただし、くすぶり型の患者の平均年齢が、既報では59.3歳だが、今回の調査では64.9歳だった。

 これらの結果から、勝屋氏は「化学療法が導入され、予後がもっと改善すると期待していたが、全体的には以前の調査結果とあまり大きくは変わらなかった。高齢者が増えたことが関係しているのかもしれない」と話した。なお別の国内調査では、くすぶり型の割合が増えており、それは検診によってより発見されるようになったこと、くすぶり型と診断された患者の中に早期の急性型が含まれている可能性があることが指摘されている。

 研究グループは、この診療実態を基に、予後リスクに応じた治療法の開発に向け、予後因子モデルの作成を進めている。