切除不能な局所進行頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)に対するS-1+シスプラチン(CDDP)併用化学放射線同時併用療法(CRT)の有効性と安全性を評価するフェーズ2試験(JCOG0706)から、有効性は有望で、毒性も認容可能な範囲であることが示された。7月26日から28日まで大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で、独立行政法人国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科の藤井正人氏が発表した。

 切除不能なSCCHNに対するS-1+CDDP併用CRTを検討したフェーズ1試験では、S-1 を60mg/m2/日で14日間投与した場合の忍容性は良好で、完全奏効(CR)が86%と有望な結果が得られたことが報告されている(M Tahara, et al. Cancer Science 2011;102:419-424)。

 藤井氏らは、切除不能な局所進行SCCHN患者を対象として、S-1+CDDP併用CRTの有効性と安全性を評価するフェーズ2試験を実施した。患者はPS 0または1で、治療歴はないこととした。

 化学療法として、S-1は60mg/m2/日を1日目から14日目まで、CDDPは20mg/m2/日を8日目から11日目まで投与し、5週毎に2コース施行した。放射線療法として、2Gy/日を週5日、計70Gy照射することとし、1日目から同時に開始した。CRT終了後に、部分奏効(PR)・good PR・完全奏効(CR)のいずれかが得られた患者には、さらに化学療法を4週毎に2コース追加した。主要評価項目は完全奏効率(%CR)で、CRとgood PRを含むこととした。good PRは、残存腫瘍ではなく瘢痕と考えられる、腫瘍の縮小を伴う組織があることと定義した。

 2008年7月から2010年7月までに45人(年齢中央値63歳、男性43人)が登録された。PS 0の患者が36人を占めた。原発部位は、中咽頭癌が26人、下咽頭癌が15人、喉頭癌が4人だった。組織分類では高分化型SCCが10人、中分化型SCCが17人、低分化型SCCが10人、不明が8人だった。病期分類では全例がIVA期以上だった。

 初回解析は2012年5月11日に行われた。最終的に32人がプロトコール治療を終了した。その結果、中央独立審査でCRは8人、good PRは21人で得られ、%CRは64.4%(79%信頼区間:54.1-73.9)となった。そのため%CRを45%以下(p<0.0001)とする帰無仮説は棄却された。

 追跡期間中央値1.56年において、1年全生存率(OS)は93.3%、1年無増悪生存率(PFS)は70.9%、1年局所無増悪生存率(LPFS)は77.8%、1年の治療成功期間の割合(TTF)は57.6%だった。

 化学療法を2コース追加した後にサルベージ手術が7人に行われ、このうち5人はPR/安定状態(SD)/進行(PD)、2人は再発の患者だった。

 グレード3以上の有害事象で多く観察されたのは、咽頭の粘膜炎(46.7%)、嚥下困難(46.7%)、口内炎(44.4%)、食欲不振(42.2%)、白血球減少(33.3%)、放射線皮膚炎(26.7%)、好中球減少(26.7%)などで、発熱性好中球減少は4.4%に発現した。治療に関連する死亡は認めなかった。

 藤井氏らはさらに検討を進めるため、フェーズ3試験を計画している。