標準治療が無効となった転移性大腸癌に対し、経口マルチキナーゼ阻害剤regorafenib はプラセボに比べ有意に生存を改善することが、多施設共同フェーズ3試験CORRECTで報告されている。さらに日本人でも有効性が期待できることが、日本人のサブグループ解析で明らかになった。国立がん研究センター東病院消化管内科の吉野孝之氏が、7月26日から28日に大阪市で開催された第10回日本臨床腫瘍学会学術集会で発表した。

 CORRECT試験は、標準的治療後に進行した転移性大腸癌患者を対象に、regorafenib+支持療法(BSC)とプラセボ+BSCを比較した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。患者をregorafenib群もしくはプラセボ群に2:1に割り付けた。regorafenib(160mg/日)もしくはプラセボを3週投与1週休薬のスケジュールで投与し、増悪や重篤な毒性の発生、あるいは患者拒否まで投与継続した。

 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存(PFS)、奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、三次評価項目は奏効期間、QOL、薬物動態、バイオマーカーと設定された。

 16カ国114施設が参加し、転移性大腸癌患者760人が登録した。日本からは2010年11月17日から2011年2月10日までに100人が登録した。

 全患者において、OS中央値はregorafenib 群が6.4カ月(95%信頼区間:5.9-7.3)、プラセボ群が5.0カ月(同:4.4-5.8)。OSのハザード比は0.77(同:0.64-0.94、片側検定p=0.0052)だった。PFS中央値はregorafenib 群が1.9カ月(同:1.9-2.1)、プラセボ群が1.7カ月(同:1.7-1.7)。PFSのハザード比は0.49(同:0.42-0.58、p<0.000001)だった。またKRAS変異を含むサブグループ解析で、OSおよびPFSはregorafenib 群で優れていた。

 日本人集団では、OS中央値はregorafenib 群が200日(95%信頼区間:191-NA)、プラセボ群が212日(同:130-NA)。OSのハザード比は0.806(同:0.43-1.51、片側検定p=0.249799)だった。これについて吉野氏は、全患者データに比べて日本人集団では無作為化後の期間がまだ半分ほどと短く、十分なデータではないが、OSハザード比は全患者の結果と類似しているとした。

 日本人集団でのPFS中央値はregorafenib 群が59日(同:56-103)、プラセボ群が51日(同:49-56)。PFSのハザード比は0.467(同:0.295-0.738、p=0.000431)だった。
 
 奏効率は全患者ではregorafenib 群が1.0%、プラセボ群0.4%で、病勢制御率(PR+6週以上のSD)は41.0%、14.9%(p<0.000001)だった。日本人集団では、regorafenib 群が1.5%、プラセボ群0%で、病勢制御率は40.3%、15.2%(p=0.005832)だった。

 日本人集団でもregorafenibによる副作用は管理可能であった。regorafenib群でのグレード3以上の主な有害事象は、手足皮膚反応が全患者では16.6%、日本人集団では27.7%、倦怠感がそれぞれ9.6%、7.7%、高血圧が7.2%、10.8%、下痢が7.2%、1.5%、発疹・落屑が5.8%、3.1%だった。有害事象による治療中止は全患者で8.2%、日本人集団で13.8%だった。

 これらの結果から、吉野氏は「日本人集団においてregorafenibは有効性が期待できる」とし、「regorafenibは化学療法抵抗性の転移性大腸癌患者において新たな標準治療になりうる」と話した。